(ブルームバーグ):20日の日本市場では円相場が1ドル=145円台前半に上昇。全国消費者物価指数(CPI)の上振れで買いが優勢となった。株式は下落し、債券は長期債が上昇(利回りは低下)した。
総務省が発表した5月の全国CPIは、生鮮食品を除くコア指数が前年同月比3.7%上昇した。市場予想を上回り、日本銀行が追加利上げに動きやすくなるとの観測が広がった。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、市場は強めのCPIを織り込んでいたが、それを上回り円が買われたと指摘。その後日銀が公表した金融政策決定会合議事要旨への反応は限定的で、「いったんは消化した格好」と語った。
また、ホワイトハウスのレビット報道官は19日、トランプ米大統領はイランを攻撃するか2週間以内に決定を下すと述べた。近くイランと交渉する考えも示し、米軍がイランを即座に攻撃するとの警戒が薄らいだ。中東情勢の緊迫を背景に「有事のドル買い」が続いてきたため、持ち高調整の円買い・ドル売りが活発化した。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは「米国が武力介入することになればドルが一段と買われる可能性がある一方、外交で落ち着けば有事のドル買いは緩和される」との見方を示した。
為替
円相場は1ドル=145円台前半に上昇。5月の全国CPIの上振れや、中東情勢緊迫化で前日にドルが買い進まれた反動が出た。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、来週発表される6月の東京都区部CPIでもインフレの強さが示された場合、日米関税交渉がうまく進めば「次回日銀会合での利上げの可能性が出てくる」とみる。一方、「日米交渉がもめると円安是正の話が出てくる可能性があり、ドルは買い進みにくい」と話した。
株式
株式は下落。中東情勢への警戒から投資家が慎重な姿勢となる中、輸出関連や素材が売られた。任天堂がTOPIXの下落寄与度1位となり、東証33業種は31業種が下落した。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、中東情勢に関する続報をにらみながらの神経質な動きと指摘。イランが強気の姿勢に転じた場合、経済や金融市場へのインパクトが大きくなると述べた。
債券
債券は長期債が上昇。前日からの好地合いが続いたほか、日本銀行がこの日行った定例の国債買い入れオペの結果が強かったことを受けた買いも入った。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、日銀のオペ結果で「残存期間5年超10年以下が若干良かったので、買いが入ったのかもしれない」と語った。
一方、超長期債は下落した。佐野氏は「来週の20年債入札に対する警戒感があるほか、前日に報じられた各年限1000億円の発行減額では足りないと催促しているのかもしれない」と言う。
野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、中東情勢の悪化を受けて日銀は利上げに慎重になっており、「焦点は金利がどこまで下がるかに移っている」と話す。欧州の利下げが相次いでいることに加え、海外投資家が超長期債の買い越しを続けており、相場を支えるとみている。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:日高正裕、我妻綾.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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