(ブルームバーグ):財務省は2025年度の国債発行計画を見直し、超長期債の発行を減額する方針だ。20年、30年、40年の各年限で、7月から1回当たりの発行額を1000億円減額する。ブルームバーグが19日、発行計画の変更案を確認した。
変更後の20年債と30年債の年間発行額は、それぞれ11兆1000億円と8兆7000億円となり、計9000億円ずつ減る。40年債は2兆5000億円と、5000億円の減額となる。市場の関心が高い買い入れ消却については計画に明記されておらず、匿名を条件に取材に応じた関係者によると、20日の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合で当局の考え方を説明するという。
今回の見直しは市場の予想に沿った内容だ。 需給悪化で市場が不安定な中、日本銀行は17日の金融政策決定会合で、国債買い入れの減額ペースを緩めて市場の安定に配慮する姿勢を示した。これに続き、財務省がどのような発行方針を示すのか市場は注視していた。
債券市場では5月、需給不安を背景に30年債と40年債の利回りが過去最高水準に上昇。財政を巡る懸念に加え、生命保険会社の自己資本規制に対応する超長期債需要が一巡したことも金利上昇の背景にあった。
野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、報道内容は予想通りだったとした上で、既発債の需給が完全に回復するわけではないため、市場は「落ち着くが元の金利水準には戻らない」と指摘。「どのイールドがフェアバリューかを当面模索する時間帯になりそうだ」と語った。

超長期債の減額分は2年債と割引短期国債(TB)の増額で対応する。これに伴い、市中発行額は171兆8000億円と当初計画から5000億円減額する。個人向け国債は年間5000億円増額し、計5兆1000億円とする。流動性供給入札でも、超長期ゾーンから短中期ゾーンへの振り替えを実施する。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「5年債の増発がないのはサプライズ」と指摘。増額の2年債やTBに対し、5年債には需給面でプラスとの見方を示した。超長期債については、30年債が20年債に対して弱く、減額幅の拡大を望む声が出ていたため、30年債の地合いは弱いとも述べた。
財務省は25年度の発行計画で30年債を9兆6000億円、40年債を3兆円とし、前年度当初比でそれぞれ1兆2000億円減額した。20年債は12兆円で変わらずだった。
計画の変更案は20日のPD会合と23日の国債投資家懇談会で示し、正式に決める。国債発行計画の見直しについては、ロイター通信が先に報じていた。
(背景と市場関係者のコメントを追加して更新しました)
--取材協力:グラス美亜、山中英典.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.