米連邦公開市場委員会(FOMC)は17、18両日に開催した定例会合で、主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを4.25-4.5%に4会合連続で据え置くことを決定した。年内2回の利下げを引き続き予想。経済の先行きを巡る不確実性は依然として高いものの、やや緩和されたとの認識を示した。

これについての市場関係者の見方は以下の通り。

◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:

  • インフレ見通しが上方修正されたにもかかわらず、年内の利下げを引き続き計50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と予想したのは、やや意外感がある
  • ただ、金利予測分布図(ドット・プロット)に変化があれば、将来の政策経路について当局者が明確なシナリオを描いているとのシグナルと受け取られかねない
  • 経済の先行きが依然として不透明であるなか、当局者自身も今後の展開を読み切れていないのが実情ではないか
  • 最終的に10-12月(第4四半期)後半まで利下げを見送り、今年の利下げは25bpの1回にとどまると当社ではみている

◎ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏:

  • 米金融当局者全員が次の金利の一手は引き下げだと考えているのは明らかだ
  • パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による様子見姿勢を理解できる。債券市場も静観の構えを示している
  • イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化傾向は今後も続く可能性が高い
  • ドルは危機時の安全資産通貨にはならない
  • インフレ率が今後上昇するとの見通しにはある程度の確実性がある。失業率が上昇した場合には米金融当局が利下げに動く可能性が高まると予想

◎アリアンツ・インベストメント・マネジメントのチャーリー・リプリー氏:

  • 中東における地政学的緊張の高まりに加え、原油価格上昇からインフレへの波及効果が強まる可能性があるにもかかわらず、FOMCはドット・プロットで年内に2回の利下げを引き続き示唆した
  • 景気悪化とインフレ加速を巡る米連邦準備制度の懸念はほぼ拮抗(きっこう)しており、予見可能な将来について、政策変更の見通しが立たない状況が続く可能性がある

◎フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏:

  • 関税を巡る議論と同様に米連邦準備制度も先送り姿勢にかじを切った。不確実性は後退したと見受けられるが、連邦準備制度によれば依然として高水準にある
  • 物価安定と最大限の雇用実現という、連邦準備制度の二つの責務は引き続き試練に直面している。経済指標に大きな変化は見られないが、インフレ見通しが上向く一方で成長が鈍化するという状況は、予見可能な将来の利下げに追い風とはならない
  • 関税を巡る見通しが一段と明確になるまで「会合ごとに判断する」とみられる

◎ウルフ・リサーチのチーフエコノミスト、ステファニー・ロス氏:

  • パウエルFRB議長の記者会見で最も重要な発言は、金利は高くないという点だ
  • インフレの高止まりを背景に、FRBは今年利下げを実施しないだろう

◎アポロ・マネジメントのチーフエコノミスト、トーステン・スロック氏:

  • 2大責務が相反する方向に引き裂かれていることについてFRBが懸念しているのは意外ではない
  • 国内総生産(GDP)に下向き圧力がかかり始めるだろう。企業収益にもさらに影響が及ぶ可能性がある-関税について

◎エバコアISIのクリシュナ・グーハ氏:

  • 6月のFOMC会合からの発表内容は、2025年の利下げ見通しが中央値で2回とされ、全体としてハト派寄りの強気なものとなった
  • 声明は不確実性が低下しているものの、依然として高いとしており、今回のマクロ経済見通しは、市場が予想していたよりも悲観的ではない内容となったと分析

◎バンクレートのグレッグ・マクブライド氏:

  • 米金融当局は利下げを急ぐ必要性を感じていないようだ。当局者の予測から判断すると、金利が急速に低下することはなさそうだ
  • これは、貯蓄から安定した収入を得ている退職者ら、貯蓄する側にとっては朗報だ。しかし、高金利のクレジットカード債務を大幅に減らす必要がある借り手には事態の切迫性を強調しており、近い将来に金利が大幅に低下する望みがほとんどないことを示唆している

◎ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのダン・シルク氏:

  • これはハト派的な据え置きであり、25年後半の利下げの可能性を残す内容となっている。米金融当局は拙速な対応を避ける構えを明確に示しているが、インフレの鈍化が続き、労働市場の軟化が深まれば行動に移る用意があることを示唆している
  • インフレ見通しの上方修正は大幅利下げへの期待を抑えるかもしれないが、25年の金利軌道に変化がなかったことで、金融当局が柔軟な姿勢を維持しているとの安心感を市場に与えている

◎BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏:

  • ドット・プロットについて、最も注目すべき点は、25年の中央値が変更されず、年内50bpの利下げが引き続き示唆されたことだ
  • これは特に驚くような発表ではないが、市場では買いが続いている

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