日本の5月の輸出は8カ月ぶりに減少した。関税措置が導入された米国向けは自動車を中心に2カ月連続のマイナスとなった。内外需ともに力強さを欠く日本経済は、2四半期連続のマイナス成長に陥るとの見方も出ている。

財務省の18日の発表によると、輸出は前年同月比1.7%減少。市場予想は3.7%減だった。自動車や鉄鋼、鉱物性燃料が落ち込んだ。

地域別では米国が11.1%減少。自動車が24.7%減、自動車部品が19.0%減った。数量ベースでは1.4%減。うち自動車は3.9%減と5カ月ぶりのマイナスとなった。財務省は、対米では個々の取引のレベルで輸出控えといった影響が生じている可能性はあると説明した。

トランプ米政権の関税政策やで世界貿易の先行きに不透明が広がっており、日本経済には下押し圧力がかかりやすい状況だ。1-3月期の日本の実質国内総生産(GDP)は4期ぶりのマイナス成長だった。テクニカル上の景気後退(2期連続のマイナス成長)を回避するためには、輸出の回復が欠かせない。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、米関税の撤廃は想定しにくく、「さらなる関税を避けられるかが日米交渉での鍵になってくる」と分析。10%の一律関税が24%に戻ると「日本経済にとって相当厳しい状況となる」と語った。その上で、4-6月期もマイナス成長となり、「テクニカルリセッションに陥る」とみている。

 

カナダの主要7カ国首脳会議(G7サミット)の場で16日(現地時間)行われた日米首脳会談では、双方の溝は埋まらず、協議継続を確認するにとどまった。日本政府は一連の関税撤廃を求めているが、交渉の行方が焦点となる。

米国は、日本からの自動車および同部品に25%、鉄鋼とアルミに50%の関税を導入している。トランプ大統領は12日、自動車を対象にさらに引き上げる可能性を示唆した。全ての輸入品に適用する10%の一律関税では、一時停止している14%の上乗せ分の猶予期間が来月9日に終了する予定で、関税を巡る状況は流動的だ。

日本総合研究所の藤本一輝研究員は、米関税の影響が「結構出てきている。米国向け輸出の価格が下がっているほか、数量も落ち始めているのが印象的」と指摘。米国内の販売価格上昇を抑制するため日本企業が負担する動きがみられるとし、「収益低下が少しラグ(時差)を持って、設備投資や賃上げに影響を及ぼす可能性はある」と分析した。今後は外需の悪化が内需にどれほど波及するかに注目している。

EU向け輸出は4.9%増と5カ月ぶりに増加。対中国は8.8%減と3カ月連続の減だった。

原油高再燃

5月の輸入は前年比7.7%減少(市場予想5.9%減)。原粗油や石炭、非鉄金属鉱が低調だった。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は6376億円の赤字と2カ月連続のマイナス。ドル・円の平均値は1ドル=143.97円と前年比7.4%の円高だった。

足元ではイスラエルとイランの軍事衝突で中東情勢の緊張が高まり、ニューヨーク原油先物相場は13日に一時1バレル=77ドル台と、1月下旬以来の高値を付けた。原油価格が高止まりすれば輸入コストが増し、日本経済の逆風になりかねない。

ブルームバーグの集計(17日時点)によれば、日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)予想は前期比年率0.1%増。1-3月は同0.1%減で、輸出は前期比0.5%減と4期ぶりのマイナスだった。

経済協力開発機構(OECD)は3日に公表した最新の経済見通しで、2025年の世界経済の成長率予想を2.9%に下方修正した。成長率の下向き修正は今年2回目。日本については0.7%と3月時点の1.1%から引き下げている。

(詳細と財務省の説明を追加して更新しました)

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