週明け16日の原油相場は一時急伸したが、欧州の取引時間帯に入り上げを消した。イスラエルとイランの交戦状況について、トレーダーが様子見姿勢に移行。イランにとって重要な石油輸出インフラは今のところ攻撃を免れている。

北海ブレント原油先物相場はロンドン時間正午ごろに前週末比1.3%安の1バレル=73.25ドルと下げを拡大。一時は一時5.5%高の78.32ドルに上っていた。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は一時6.2%高となった後、同時刻には1.6%安の71.85近辺で取引された。

イスラエルは先週のイランの核施設や軍司令官らへの攻撃に続いて、南パルス天然ガス田への攻撃を実施し、生産プラットフォームは停止を余儀なくされた。だが、主要原油輸出インフラに支障は出ておらず、ホルムズ海峡封鎖も起きていない。

 

イランのガス生産インフラへの攻撃も懸念材料ではあるものの、原油相場にとって最大の懸念はホルムズ海峡に集中している。中東の産油国は世界の1日当たりの産油量のおよそ5分の1をこの狭い海峡を通じて輸送しており、イランが航路封鎖を試みれば、原油価格はさらに上昇する可能性がある。

ウエストパック銀行の商品・カーボン調査部門責任者ロバート・レニー氏は、ホルムズ海峡の封鎖や、イランの支援を受けたイエメンのフーシ派による船舶攻撃といった事態が起こらない限り、「原油価格がさらに大きく上昇するとは考えていない」とし、「ブレント原油の上値は80ドルを下回る水準で抑えられるとみている」と語った。

ライスタッド・エナジーのアナリスト、ムケシュ・サーデブ氏はリポートで、「イランによるホルムズ海峡封鎖の可能性は市場を大きく動かす最も重要な注目事項であり、原油相場を前例なき領域に押しやる恐れがある」とコメント。ただ、「現時点ではそのようなシナリオが差し迫っている兆候は見られない」とも話した。

原油価格は反落しているとは言え、イスラエルによる攻撃が始まる前と比べれば、まだ大幅に高い。この戦争がもたらし得るリスクを、ウォール街のアナリストは相次ぎ指摘した。

RBCキャピタル・マーケッツは、双方がエネルギーインフラを攻撃対象としている事実は明らかな懸念材料だと論じ、イランの主要原油積み出し港であるカーグ島やイラクの油田が標的となる可能性があるとの見解を示した。モルガン・スタンレーは、戦争によるリスク上昇を理由に、原油価格見通しを10ドル引き上げた。

現時点では、攻撃による影響はほぼ海運市況にとどまっている。英海軍によれば、ホルムズ海峡およびペルシャ湾で航行管制信号が妨害に遭うことが増え、位置情報の報告に深刻な影響が出ているほどだという。

一部の船主は、安全上の懸念から中東地域での新たな輸送の受注を敬遠している。中東から中国への超大型タンカー運賃は13日に20%余り上昇した。

原題:Oil Erases Gain With Iran-Israel Attacks Sparing Flows So Far(抜粋)

(相場を更新し、最後の4段落に情報を加えます)

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