英国の国内総生産(GDP)は大幅な増税とトランプ米大統領の関税で大きく縮小した。労働党政権は成長加速によって大胆な支出を賄う計画だが、その実現に疑問符が付いた。

英政府統計局(ONS)が12日発表した4月のGDPは前月比0.3%減少。1年半ぶりの大幅な落ち込みで、ブルームバーグが調査したエコノミスト予想の0.1%減を下回った。建設は拡大したものの、サービスと製造業が縮小した。

過去2カ月のGDPは堅調で、スターマー首相は1-3月(第1四半期)の経済成長で英国は他の主要7カ国(G7)を上回ったと繰り返し褒め立てていたが、今回の数字は冷や水を浴びせた格好になる。

失業者の増加と増税、トランプ氏の世界的な貿易戦争に企業と消費者が向き合う中で、4-6月(第2四半期)は低調なスタートとなった。関税導入前の駆け込み需要が1-3月に見られていた英国の財の対米輸出は、4月に1997年の統計開始以来最大の落ち込みを記録した。

「リーブス財務省にとって成長鈍化は頭痛の種になる。大規模な支出計画に必要な歳入の確保が難しくなり、秋の予算で追加的な増税を打ち出さざるを得なくなる可能性が高まる」と、イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)のエコノミクスディレクター、スレン・ティル氏は述べた。

リーブス財務相は4月のGDP統計について、「明らかに失望すべき内容」だと電子メールでコメントした。

ただ、12日朝に行われたBBCとのインタビューでは、月次データは「変動が大きいことで有名」との認識をリーブス氏は示し、インドや米国、欧州連合(EU)との間で英国が結んだ通商協定や、労働党政権が進める公共サービス計画策定時の官僚手続き簡素化が経済成長を押し上げると主張した。

原題:UK Economy Shrunk 0.3% in April as Tariffs and Taxes Bite (2)(抜粋)

--取材協力:Mark Evans、市倉はるみ、Joel Rinneby、Irina Anghel、Philip Aldrick.

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