(ブルームバーグ):米国と中国の貿易摩擦は一時的な関税引き下げにもかかわらず、当面は収束しそうにない。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)の米経済政策顧問ジーン・スパーリング氏がこう警鐘を鳴らし、市場のボラティリティーは今後も続くとの見通しを示した。
クリントン、オバマ両政権時に国家経済委員会(NEC)委員長を務めた同氏はシドニーで12日開かれたモルガン・スタンレーの会議にビデオリンクで参加し、関税措置を巡る米中の休戦合意は知的財産権や技術移転、市場アクセスといった根本的な構造問題に踏み込んでいないと指摘。
「中国との問題が容易に解決されるとは思っていない」と語った。

スパーリング氏はカナダでトランプ米大統領に対抗する姿勢を打ち出したカーニー首相が総選挙で勝利したことに触れ、「各国は米国に屈したようには見られたくない」と分析。「このように、対応せざるを得ないというゼロサム的な関税の応酬につながる可能性がある」とし、「中国との問題は長期化すると思う」と述べた。
トランプ氏の関税戦略について、スパーリング氏は今後も継続されるとみており、欧州連合(EU)との交渉にも影を落とすと予想。
特定の成長ホルモンを用いた牛肉の輸入禁止措置や米国の巨大IT企業を対象としたデジタルサービス税(DST)に言及し、 「EUのような国・地域に対して求めている変更の一部は、文化的な問題にまで実際に及んでいる」と説明した。
トランプ氏はDSTを導入した国の企業に対し、米内国歳入法891条に基づき課税を倍にすることを検討しており、米欧間の緊張が一段と高まりつつある。
スパーリング氏はこうした状況を踏まえ、市場のボラティリティーが続くと想定。「金融投資を今考えるなら、一定のボラティリティーを織り込む必要がある。完全にランダムだとか、予測不能という意味ではないが、明確な局面を期待するのなら、今後3年は悪い時期だ」と話した。
原題:Sperling Sees Enduring US-China Trade Tensions, Volatility Ahead(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.