(ブルームバーグ):米国との関税交渉や主要7カ国首脳会議(G7サミット)によって防衛関連株への追い風が一段と強まりそうだ。
今年は防衛関連株の上昇が顕著だ。背景には、日本がアジア太平洋地域で防衛体制を強化していることや、米国からの防衛費増額圧力が高まっていることがある。G7は来週カナダで開催される予定で、欧州連合(EU)は主要な同盟国との安全保障連携の進展に動いている。EUは7月に日本と首脳会談を行い、安全保障・防衛協力の強化を目指している。
リード・キャピタルの副最高投資責任者(CIO)、ジェラルド・ガン氏は「防衛関連株は波に乗っていく」と話す。防衛費の増加は世界で高まる脅威から自国を守るための重要な手段の一つになると言う。

良好な収益環境を反映する形で、ゴールドマン・サックス証券が算出するGS日本防衛関連銘柄バスケット指数は最高値圏で推移している。IHI、三菱重工業、川崎重工業といった防衛関連の主要3銘柄はいずれも年初来上昇率が38%を超え、日経平均株価の構成銘柄でトップ10に入る。野村証券は今月、防衛関連事業の好調などを理由に3社の目標株価を引き上げた。
3社は造船事業も手掛けており、日米関税交渉が追い風になり得る。日本経済新聞によると、赤沢亮正経済再生担当相は13-18日に米国・カナダを訪問し、日米通商協議とG7に臨む。石破茂首相は米国との交渉を進める上で、日本の米国経済への貢献策として造船分野での協力に意欲を示している。フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は「米国の造船業再生は交渉でかなり強力なカードになる」と述べた。
中国の軍事活動活発化などに対抗するため、政府は2023-27年度の防衛費総額を43兆円と、国内総生産(GDP)比で1%強から約2%へと大幅に増やす計画を打ち出している。この数十年で最も急速な伸びで防衛体制を強化していく恩恵は、防衛関連企業が享受する。
12日の東京株式市場では東証株価指数(TOPIX)と日経平均株価が値下がりする中、三菱重と川崎重の株価が一時3.6%高、IHIが同1.8%高と、そろって上昇している。
(末尾に株価動向を追加して見出しを変更します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.