(ブルームバーグ):人工知能(AI)向け半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は11日、量子コンピューティングが転換点に達しつつあると指摘。数年内に世界で「興味深い問題を解決できる」能力を持つ段階に入ると述べた。
パリで開催されたテック業界会議「ビバテック」のイベントで登壇したフアン氏は、量子コンピューティングは数十年にわたる開発を経て、「より強靱(きょうじん)で高性能かつレジリエントな」システムとしての離陸が間近に迫っていると述べた。
量子コンピューティングは半導体をベースとする従来の電子機器よりはるかに速いスピードでデータを処理できるため、多数の企業が実用化に向けて開発してきた。しかし技術的な困難や高コストのため、これまでは実験段階にとどまっていた。マイクロソフトやアルファベット傘下のグーグルなどが、量子システムの実用的な活用法を見いだそうと取り組んでいる。
11日の米株式市場ではフアン氏の発言を受けて、Dウェーブ・クオンタムやイオンキュー、リゲッティ・コンピューティング、クオンタム・コンピューティングなどの量子コンピューティング関連銘柄はいずれも大きく上昇した。

フアン氏によると、エヌビディアの半導体は量子コンピューティングのサポートに使用される。同社は量子アルゴリズムの全スタックをGB200チップ上で提供し、加速を図るという。量子コンピューターは大規模言語モデル(LLM)の動作速度を大幅に向上させ、より強力なAIを実現する潜在性がある。
フアン氏の見解は今年1月の時点から変化したことが伺われる。実用化は数十年先になると同氏は予想していた。
量子コンピューターは並列計算が可能なため、従来の逐次処理型コンピューターよりもはるかに高速で情報を処理し、問題を解決できる。通常のコンピューターが0か1のビットを使うのに対し、量子ビットには「重ね合わせ」という特徴があり、計算全体が終了するまで確定せず、相互に協調した動作が可能だ。
フアン氏は「ムーアの法則と同様に、論理量子ビットの数は5年ごとに10倍、10年で100倍になることは十分予想できる」と語った。
原題:Nvidia’s Huang Sees Quantum Computing Reaching Inflection Point(抜粋)
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