ベッセント米財務長官は11日、米インフレ率の減速はトランプ大統領の政策によるものだと評価し、貿易に関して「数十年続いてきた現状維持の状態」に挑戦したと述べた。

ベッセント氏は下院歳入委員会の公聴会で「米国のインフレ率は2021年以来の低水準にある。住居費や食品、エネルギー価格の上昇ペース鈍化が背景にある」と証言。この日発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は食品とエネルギーを除くコア指数が4カ月連続で市場予想を下回った。

「4年間にわたる物価高が米国の生活水準を押し下げてきたが、政権の政策によりインフレは著しく改善しつつある」とベッセント氏は述べた。

また、公聴会では、トランプ氏が「解放の日」と呼んで4月2日に発表した関税について、90日間の猶予期間終了後に発効するのかも議員から問われた。ベッセント氏は、誠意を持って交渉している貿易相手国に対しては、発動時期をさらに延長する「可能性が極めて高い」と回答。一方で、そうでない国に対しては延期しない考えを示した。

米下院歳入委員会で証言するベッセント財務長官

ベッセント氏はロンドンで開かれた中国との貿易協議を主導した後、この日の公聴会に出席するためワシントンに戻った。証言では、中国は国内消費をさらに喚起する必要があるほか、貿易交渉において信頼できるパートナーであるべきだとの自身の見解を改めて強調した。

「中国が先月ジュネーブでまとまった最初の貿易合意の内容を順守し、軌道修正を図るのであれば、世界の二大経済国である米中間での大きくて美しい再均衡は可能だ」と同氏は語った。

米中の代表団はロンドンで行った貿易協議で、貿易摩擦の緩和に向けた暫定的な計画で合意に達した。

同日行われた上院歳出委員会の小委員会での公聴会では、トランプ政権はドルの「基軸通貨としての地位を維持・強化することにコミットしている」と質疑応答で強調。ドル建てステーブルコインについて、米国債など高格付け資産による裏付けを義務づける法案が議会で策定中だとしたほか、ステーブルコインの市場規模が今後数年間で2兆ドル(約289兆円)に達する可能性があるとの試算に言及した。

原題:Bessent Credits Trump Policies for ‘Substantial’ CPI Improvement、Bessent Says $2 Trillion Reasonable for Dollar Stablecoin Market(抜粋)

(情報を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.