(ブルームバーグ):オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は9日、国内での新規株式公開(IPO)を促進するため、より効率的なプロセスを試験的に導入した。
ASICの声明によれば、試験的導入により、当局の書類審査を前倒すことでIPOプロセスは現在の約20週間から1週間短縮できる。今回の試験運用には、時価総額が1億豪ドル(約94億円)超の企業のみが参加できる。
豪州ではIPOを実施する企業の数と資金調達額が急減していることから、当局に対しIPO規則の緩和を求める圧力が強まっている。ただ、豪航空会社ヴァージン・オーストラリアが最近、再上場計画を発表するなど回復の兆候も見られる。同社の再上場に伴うIPOの規模は6億8500万豪ドルと、昨年終盤以降では同国最大となる見込み。
ASICのジョー・ロンゴ委員長は声明で、「IPOプロセスの効率化は、豪州の公開市場が企業と投資家にとって引き続き魅力的であることを確実にするという当局のコミットメントを強調するものだ」と声明で述べた。
当局はまた、上場審査時の修正の必要性を減らすほか、相場変動の影響を軽減する方針も示した。
豪州は株式市場の縮小に直面している唯一の国ではないが、香港などアジア太平洋地域内の他市場に後れを取っている。
ブルームバーグの集計データによると、豪州のIPO総額は2021年に90億米ドル(約1兆3000億円)を超えたものの、その後の2年間はいずれの年も10億米ドルに満たず、24年に20億米ドル超に持ち直した。今年はヴァージン・オーストラリアのIPO前の段階で、1億5000万米ドルを下回っている。
原題:Australia to Shorten IPO Process by a Week to Attract Listings(抜粋)
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