(ブルームバーグ):野村ホールディングス(HD)が、中国本土で展開する富裕層向けビジネスの縮小に伴い、同国で展開する4つの支店のうち1つを閉鎖することが分かった。中国での事業は業績不振が続いており、立て直しを急ぐ。
非公開情報だとして匿名で取材に応じた事情に詳しい複数の関係者によると、野村HDの中国合弁「野村東方国際証券」は2025年末までに、中国東部の裕福な地域として知られる浙江省の支店を閉鎖する。野村HDの広報担当者はコメントを控えた。
今回の支店閉鎖は、野村HDが2021年末に同支店の開設を発表してから、わずか4年後の措置となる。同社は中国での富裕層向け事業などを強化してきたが、習近平国家主席が打ち出した「共同富裕(共に豊かになる)」運動、保護主義的な貿易政策を打ち出す米国との対立などが事業展開の重荷となっている。
野村HDは、東方国際、上海黄浦投資と共同で19年に野村東方国際証を設立したが、開業以来赤字が続いている。同証は上海、北京、深センにも支店を持つ。3支店に経営資源を集中させて収益の確保を急ぐ。
一時投資を積極化していたJPモルガン・チェースやUBSグループなど世界の大手金融機関も、中国での金融サービス事業拡大の勢いを鈍らせている。
浙江省にはアリババグループの本社が所在するほか、世界的な輸出拠点である義烏市を抱える経済的に豊かな地域だ。ブルームバーグは4月、野村HDが富裕層向け事業から撤退し、証券仲介と資産管理業務の拡大を優先していると報じていた。
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