(ブルームバーグ):アクティビスト(物言う株主)として知られる米ヘッジファンド運営会社のエリオット・インベストメント・マネジメントは9日、住友不動産に対し、株主還元の強化と企業統治(コーポレートガバナンス)の改善を求める書簡を発表した。
企業価値やガバナンスの向上に向けた追加的な施策が講じられない限り、エリオットは27日に予定されている株主総会で住友不動産の経営陣の再任に反対票を投じる方針を示した。
同社が日本企業への要請を公開するのはまれ。過去1年間で東京ガス、三井不動産、ソフトバンクグループなどへのアクティビストとしての関与が報じられており、住友不動産への出資もブルームバーグが3月に報じていた。
住友不動産の広報担当者は電子メールで、エリオットからは直近のガバナンス強化や株主還元施策の方向性について一定の評価を受けており、今後も建設的な議論を進めていくとコメントした。
エリオットは、住友不動産の株価が過小評価されていると指摘。不動産資産の評価や同業他社との比較に基づき、適切な対応を講じることで株価は少なくとも現在の水準を40%以上上回る8000円になると主張した。同社の9日午前の終値は前週末比0.8%高の5545円だった。
具体的な対応として大成建設や鹿島建設、清水建設、大林組といった建設会社4社の政策保有株の売却のほか、総還元性向を同業他社と同水準の50%以上に即座に引き上げること、現在は設定いない自己資本利益率(ROE)の目標を10%以上とすることを求めた。
3月末時点でのエリオットの住友不動産に対する持ち株比率は2.99%だったが、今回の書簡では3%超に引き上げたとしている。3%以上の株式を6カ月以上継続して保有する株主は、株主総会の招集を求めることも可能になる。
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