中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の親会社バイトダンス(字節跳動)は米国での電子商取引(EC)事業について、米国で採用した人材を解雇したり交代させたりし、中国本社に関係する幹部の登用を進めている。米市場での売り上げが当初目標を大きく下回ったことが背景にある。

米事業の「TikTok Shop(ティックトック・ショップ)」は当初、2024年に米EC取扱高を10倍の175億ドル(約2兆5000億円)に拡大する目標を掲げていたが、関係者によれば、目標はその後大幅に下方修正された。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。

シンガポールの調査会社モメンタム・ワークスの推計では、24年の米国での売上高は約90億ドルにとどまった。

TikTok Shopでは会議はかつて英語で行われていたが、現在では中国語で実施されるケースが増え、社内チャットでも中国語使用が主流となり、中国語が分からない社員は翻訳機能に頼らざるを得ない状況だという。

事情に詳しい関係者によると、TikTok Shopがシアトル近郊に置く米拠点では、100人以上の従業員が解雇されたか退職。事業運営の主導権を巡る混乱が職場環境を悪化させているという。

「TikTok Shop」

TikTok Shopはティックトックにとって、広告を別にすると最大級の収益源で、バイトダンスの主要な投資分野に成長している。

競争力を高めるため、TikTok Shopは過去3年間、積極的に人材を採用してきた。ビジネス向けSNSのリンクトインでのプロフィルや複数の関係者によれば、EC大手のアマゾン・ドット・コム出身者も多くいるという。

しかし今年1月以降、米国EC部門を統括していたニコ・ルブルジョワ氏と中国本社側の幹部の間で緊張が高まり、指揮系統が混乱したと関係者が明らかにした。

こうした形で中国出身の幹部が米EC事業を統括することは、米事業を中国本社から切り離すという現行方針との整合性に疑問を生じさせる。

米議会は昨年、国家安全保障上の懸念からティックトックを規制する法案を可決。ティックトックの米事業からバイトダンスから切り離されなければ、米国内での利用が禁止される内容だ。

トランプ米大統領はティックトックの禁止措置をこれまでに2回延期しており、事業売却の新たな期限は6月19日となっている。

原題:China Execs Take Reins at US TikTok Shop as Sales Miss Goal (1)(抜粋)

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