(ブルームバーグ):トランプ米大統領は6日、米国のドローン(無人機)に関する能力強化に向けた複数の大統領令に署名した。これには2026年の国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)や28年のロサンゼルス夏季五輪といった大規模スポーツイベントを見据えた対ドローン対策の強化も含まれる。
ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)のクラツィオス局長は6日、記者団に対し、数百万人の観客が米国に集まると見込まれる今後のイベントを挙げ「空域の安全対策に取り組むタイミングとして、これほど適切な時期はない」と指摘。その上で「政権は違法なドローン利用に厳しく対応する。連邦政府のタスクフォースを編成し、米国の空域を米国が掌握できるようにし、リアルタイムでのドローン探知と識別を最優先事項とする」と述べた。
当局者によると、三つの大統領令は、米国の製造業と技術革新を促進し、商業用ドローン市場で優位に立つ中国など対立国への依存度低下を狙いとしている。
ホワイトハウスのファクトシートによると、大統領令の一つは対ドローン能力の向上を目的としたもので、脅威を検証し対応策を提言するためのタスクフォース創設が盛り込まれている。
さらに、W杯や五輪に備えるための訓練センターの設立を求めるほか、重要インフラ施設や製油所、化学プラント、遊園地など特定施設の周辺でのドローン飛行を制限する規則の策定を米連邦航空局(FAA)に指示している。
二つ目の大統領令では、ドローンや空飛ぶタクシーなど新技術の国内市場を後押しする内容となっている。これでは、企業が個別の免除や特例を取得することなく、操縦者の目視範囲を超えてドローンを飛行させることを認める規則を迅速に策定するようFAAに指示している。現在ホワイトハウスで審査中のこの規則は、宅配などでドローンを利用する企業にとって事業拡大が容易になると期待されている。
ファクトシートによると、連邦機関に米国製ドローンを優先的に採用するよう指示する条項も盛り込まれている。
三つ目の大統領令は、米国における超音速技術の推進を目的としており、発展を妨げてきたとされる規制の撤廃が盛り込まれている。ファクトシートでは超音速飛行の陸上飛行禁止規則を撤廃するようFAAに求めている。
原題:Trump Signs Order to Boost Drone Security Before World Cup (1)(抜粋)
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