(ブルームバーグ):イーロン・マスク氏とトランプ米大統領が非難の応酬を繰り広げる前から、マスク氏が所有するハイテク企業の社債を売り込むのはモルガン・スタンレーにとって簡単な仕事ではなかった。しかし人工知能(AI)スタートアップ、xAIの場合は例外的に順調に進むと思われていた。
モルガン・スタンレーが一部の投資家に限定して開示した内部データによれば、xAIは2029年までに年間純利益130億ドル(約1兆9000億円)余りを見込んでいる。データを知る関係者が明らかにした。
しかしマスク氏とトランプ氏がリアルタイムで展開した言葉のバトルが、モルガン・スタンレーの仕事をやっかいなものにすることはほぼ間違いない。ハーバード大学やコロンビア大学の例が示すように、トランプ氏は敵を追い詰めるためには手段を選ばない。xAIを含むマスク氏の企業すべてが、その標的になる可能性がある。
50億ドルの起債に両氏の対立がどのように影響するかは、まだ不明だ。マスク氏のハイテク帝国で一角を占めるソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」の場合、ローン債権の価格は5日におよそ1.25ポイント下落した。
モルガン・スタンレーの広報担当者はコメントを控えた。xAIには通常の営業時間外のコメントを求めたが、返信はない。
5日の会合では5000万ドル以上の投資を考えている投資家に限定して、xAIの収入や利益、キャッシュフロー、その他見通しといった内部データが開示された。複数の関係者が公的に話す権限がないことを理由に、匿名で明らかにした。
これらのデータはxAIが赤字で運営されており、キャッシュを取り崩していることを示したが、AI業界のスタートアップとしては典型的な状況だ。
投資家に共有された資料によれば、xAIの1-3月期総売上高は5200万ドルで、EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は3億4100万ドルの赤字だった。EBITDAは2027年に27億ドル、29年に131億ドルの黒字が見込まれていると、関係者の1人は述べた。
同関係者によれば、xAIは年内の総売上高として10億ドルを想定し、29年までに140億ドルに成長すると見込んでいる。
事業キャッシュフローは設備投資の26億ドルが影響し、2億2000万ドルの赤字。今後はデータセンターに180億ドルを投資する計画だという。
関係者らによれば、これらは監査前の数字であり、株式公開企業の標準的な会計基準に基づかない。
社債への投資コミットメントは今月17日が締め切り。2日の時点ですでに35億ドルを上回る需要があり、TPGアンジェロ・ゴードンがアンカー投資家として資金提供を申し出たと、ブルームバーグが5日に報じた。
原題:Morgan Stanley Opens xAI Books With Musk in Trump Crosshairs (1)(抜粋)
--取材協力:Gowri Gurumurthy、Eliza Ronalds-Hannon、Kurt Wagner、Jeannine Amodeo.
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