米企業の景況感が急速に悪化している。トランプ氏が昨年11月の大統領選を制した直後に広がっていた企業経営者らの楽観的なムードはすでにない。

米国公認会計士協会(AICPA)が先月実施した調査では、今後1年間の経済見通しに自信が持てると答えた企業幹部は27%にとどまり、1-3月期の47%、昨年10-12月期に記録した67%からその割合が大きく低下した。

AICPAのエグゼクティブバイスプレジデント、トム・フッド氏は「採用や投資の先送り、拡張計画の縮小、重要業績評価指標(KPI)の下方修正など企業による予測の見直しが多く見られる」とした上で、「今回の調査は楽観から慎重への明確な転換を示している。企業は不安定さに備えており、関税を巡る不透明感がその動きを加速させている」と語った。

調査では、企業幹部の5人に1人がすでに米国は景気後退(リセッション)に入っていると考えており、34%が年内のリセッション入りを予想している。今年もしくは来年にリセッション入りすると想定している幹部の内、75%は中程度から深刻なリセッションを見込んでいる。

こうした結果は、わずか数カ月の間に企業の景況感が大きく悪化したことを示している。この間、トランプ政権は世界的な貿易体制を揺るがし、アップルなどの米企業に圧力を加え、国際的な投資家や企業に多額のコスト増をもたらす条項を含んだ税制法案を議会で押し通そうとしている。

調査によれば、今すぐに人員を増やしたいと答えた企業は14%と1-3月期の20%から低下した。今後1年間の増収率予想は1.0%にとどまり、2020年7-9月期以来の低水準となった。当時は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で多くの企業活動が制限されていた。

今回の調査で最も多く挙げられた4-6月期の懸念材料は、国内の経済環境となった。1-3月期はインフレがトップだった。このほか、備品・設備コストや国内の政治的リーダーシップ、市場の停滞・縮小も上位に挙がった。

今回のAICPA調査は、米企業の最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)ら328人を対象に5月5-27日に実施された。

原題:US Business Optimism Slumps in ‘Clear Pivot’ From Trump Election(抜粋)

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