(ブルームバーグ):香港の株式資本市場(ECM)が数年ぶりの活況を呈している。数十億ドル規模のディールがけん引役となっており、今後の取引への期待も膨らんでいる。
モルガン・スタンレーのアジア太平洋担当ECM責任者、キャシー・チャン氏は「香港と中国でこのような熱気は長い間見られなかったと思う」と語る。
ブルームバーグの集計データによると、香港での新規株式公開(IPO)や新たな株式発行による調達額は年初来で計265億ドル(約3兆8000億円)と、前年の38億ドルから急増。記録的な1年だった21年以来の高水準となった。
ブームをけん引しているのは、中国大手企業による50億ドル超の株式発行3件だ。電気自動車(EV)用バッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)は5月に香港上場。世界で今年最大の上場案件となった。これに先立ち、テクノロジー企業の小米(シャオミ)とEV大手の比亜迪(BYD)が3月に株式売却で計110億ドル超を調達した。

ファストファッション大手のSHEIN(シーイン)がロンドンではなく香港でIPOを実施すれば、さらに注目を集める大型案件となる可能性がある。
ゴールドマン・サックス・グループのアジア(日本を除く)ECM責任者、ジェームズ・ワン氏は「貿易フローだけでなく資本配分でも、より広範な世界的リバランスが進んでいるということだ。米国からインドや香港といった一部の新興市場への資本フローが増えつつある」と語った。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のストラテジスト、マービン・チェン氏によれば、米中の対立が続く中、中国企業がIPOの舞台を香港に移す動きが進んでおり、これがセンチメントを押し上げているという。モルガン・スタンレー・アジアの元会長スティーブン・ローチ氏も同様の見解を示している。
中国国際金融(CICC)の資本市場副責任者、施琦氏は「CATLの上場が香港市場にポジティブな勢いを与えており、今こそ資本市場の計画を前進させる好機だと顧客に助言する」と語った。
原題:Surge in IPOs, Share Sales Fuel Optimism in Hong Kong (1)(抜粋)
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