ゴールドマン・サックス・グループは米国への信認を巡る懸念の中で、長期ポートフォリオにおけるインフレヘッジとして金(ゴールド)と原油の組み入れを促している。

ダーン・ストライフェン氏らアナリストは28日のリポートで、株式と債券に分散投資するいわゆる60/40ポートフォリオ(株式60%・債券40%)においても、金と原油を長期的に組み入れることで平均的年間リターンを維持しリスクを軽減することがこれまでも可能だったと分析。

「米国債が株式の下落局面で安全資産としての役割を果たせず、利回りが急上昇したことを受けて、投資家は株式・債券のポートフォリオを守る手段を模索している」と説明した。

アナリストらは、金については通常よりも高めの配分を推奨し、原油については通常よりも低めながら引き続きプラスのウエートでの組み入れを勧めた。

両商品を債券と株式のポートフォリオに打撃を与えるインフレショックに対する「極めて重要な」ヘッジ手段と位置付けている。

 

人気の60/40戦略は近年その基調的なメカニズムが崩れつつあり、米国株と米国債が互いに値動きを相殺するどころか、同じ方向に動くようになっている。

特にここ数カ月は米長期国債が値下がりし、戦略に新たな逆風が吹いている。政府債務と財政赤字の拡大を受け、投資家が長期の米国債保有を敬遠している状況が背景だ。

こうした警戒感は、市場が米国の制度への信頼を失うリスクが高まっていることを浮き彫りにしている。ゴールドマンによれば、そうしたシナリオでは金の安全資産としての魅力が一段と高まるとともに、米国債と米国株の両方が持続的に売られる可能性がある。

加えて、トランプ米大統領の米連邦準備制度理事会(FRB)への対立的な姿勢とパウエルFRB議長の解任を示唆する発言も、懸念をあおっている。中央銀行の独立性低下はインフレを助長する傾向があり、ヘッジとしての金の役割を高めるという。

米国の財政状況とFRBの独立性への懸念が強まった場合、金への資金大量流入が起き、価格が2025年末に1オンス=3700ドル、26年半ばに4000ドルというゴールドマンの現在の予測を大きく上回る可能性があると指摘した。

原油については、28年以降に石油輸出国機構(OPEC)外の産油国の供給の伸びが鈍化する見通しであることから、供給ショックのリスクが高まるとの見方を示した。

原題:Goldman Urges Investors to Buy Gold and Oil as Long-Term Hedges(抜粋)

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