来週の円相場は上昇圧力の強い展開が見込まれる。米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが確実視される半面、日本銀行の金融政策決定会合では追加利上げを模索する姿勢が示される可能性があり、金融政策の方向性の違いで円買いが優勢となりそうだ。

◎SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長

  • 米国の消費者物価指数(CPI)の反応を見ても、結局ドル・円は下げており、149円台は遠くなった印象だ
  • FOMCは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げで間違いないだろう。その後の年内利下げに言及があるのか、データを見極めるとするのか。先行きの利下げに含みを持たさなければ、ドルの戻りはある
  • FOMCの票決が割れるかどうか。25bpに加え、50bpがあればトランプ米大統領の介入が連想され、ドル安が進む可能性がある
  • 日銀の9月利上げはなく、10月利上げの可能性は排除しないとみる。粛々と利上げする方針と従来の姿勢から変わらなければ、中立であり、146円台が精一杯。年内利上げに確信を持たせれば、145円台もあり得る
  • 予想レンジは1ドル=145円50銭-148円50銭

◎みなと銀行の苅谷将吾ストラテジスト

  • ドル・円は足元の147円台前半から半ばに対し、やや水準を上げそうだ
  • FOMCでは25bp利下げがメインシナリオ、一部で50bp利下げを織り込んでおり、やや先走っている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はデータ確認するという慎重な姿勢を継続するとみられ、こうした要因でドルは反発しそうだ
  • 日銀は現状維持を決め、利上げ時期の言及も避けるとみる。注目は不確実性が和らいだことへの認識。明確な言及はせず、市場の反応は限定されるのではないか
  • 高市早苗前経済安全保障担当相の自民党総裁選出馬・立候補会見のタイミングでやや円安が進む可能性がある
  • 予想レンジは1ドル=145円50銭-150円

来週の主な予定

  • 15日:9月のニューヨーク連銀製造業景況指数
  • 16日:8月の米小売売上高
  • 17日:FOMCが声明と経済予測を発表し、パウエルFRB議長が会見
  • 19日:日銀が金融政策決定会合の結果を発表し、植田和男総裁が会見
  • 19日:8月の全国CPI

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.