30日の債券相場は上昇。米国市場で弱い経済指標を受けて長期金利が低下した流れで買いが優勢だ。この日行われた2年利付国債入札は波乱なく消化された。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、2年債入札は最低落札価格が予想を上回り、応札倍率や、大きいと需要の弱さを示すテール(落札価格の最低と平均の差)も過去の平均程度で「無難な結果だった」と述べた。

同氏は日本銀行の利上げはまだ先だとの見方に加え、先に行われた3カ月物国庫短期証券入札で応札倍率が低下したことを指摘。超長期債の発行減額の代わりに増額されるとしても、短期国債の規模がより大きくなり、「2年債の方がまだ安心という見方」だと分析した。

全国の先行指標となる5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコア)は2023年1月以来の高い伸びとなった。ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、相場への「影響はあまりなかった」と話す。米国の関税政策を巡る先行き不透明感が引き続き強く、「日本の物価指標だけでは日銀の利上げ期待にはつながらない」と言う。

 

超長期債は20年債が買われている。ソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之シニアエコノミストは、超長期債はやや落ち着きを取り戻していると指摘。来週の30年債入札についても「超長期債の地合いが最悪期を脱したことを示す結果になる」と予想している。

一方、ニッセイアセットの三浦氏は「超長期債は発行減額の方向だろうが、参院選前に消費減税に向けた機運が高まる可能性を考えると、財務省がこのタイミングで大幅な減額に踏み切るとは考えにくい」と指摘。引き続き積極的な買いには転じづらいとの見方を示す。

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