(ブルームバーグ):30日の東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=143円台半ばに上昇。5月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを受けて円買いが優勢だ。米国の経済指標の不振やトランプ大統領の関税政策を巡る不透明感もドル売り・円買いにつながった。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、東京CPIの上振れに加え、「仲値にかけて企業から少しドル売りが出ていた」と説明。前日にドルが上昇したため損失確定の動きもあり、ドル・円が下押す場面があったと述べた。
29日の円相場は東京市場で一時146円台まで下落した後、海外時間に上昇に転じた。米連邦高裁はトランプ関税に対する国際貿易裁判所の違法判断について、その効力を一時的に停止する判断を下した。同日発表された米国の1-3月の実質国内総生産(GDP)改定値や失業保険統計は景気減速を示した。米10年国債利回りは6ベーシスポイント(bp)低い4.42%程度に低下し、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.4%下げた。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、ドル・円は「裁判所がトランプ関税を違法と判断したとのヘッドラインで大きく上昇したが、結局霧は晴れず、GDP改定値の弱さもあって下げた」とし、「引き続き市場ではドル売りがテーマになっていることが示された」と述べた。

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