(ブルームバーグ):トランプ米政権は米国際貿易裁判所が関税の大部分を違法と判断したことを巡り、控訴審で判決の即時保留が認められない場合、30日にも連邦最高裁判所に介入を求める方針を明らかにした。
米司法省は29日に裁判所に提出した文書で、国際貿易裁の違法判断は、政府の外交に悪影響を及ぼすとともに、トランプ大統領の外交に関する権限を侵害するものだと主張した。
その上で、首都ワシントンの連邦高裁に対して、政府が正式な上訴手続きを行う間、判決の執行を保留するよう要請。「高裁が少なくとも暫定的な軽減措置を講じない場合、30日にも最高裁に緊急の軽減措置を求める予定だ」と述べた。
ホワイトハウスのレビット報道官は「トランプ大統領であれ他の大統領であれ、アクティビストの判事によってセンシティブな外交や通商交渉を妨害されれば、米国は機能することができない」と会見で指摘。「最終的には、憲法と国家のために最高裁がこの事態に終止符を打たなければならない」と語った。
トランプ政権は、広範な関税措置を維持するため対応を急いでいる。国際貿易裁は、10日以内に関税撤廃のための行政手続きを実施するよう求めた。司法省は28日、同裁判所に対しても各国・地域との交渉が進行していることを理由に、判決の執行停止を要請していた。
トランプ大統領は司法の壁に直面しても、看板政策である関税政策に対する意欲を全く失っていない。政権関係者は29日、法廷で徹底的に争う姿勢を示すとともに、それが失敗した場合は他の権限を使って関税政策を推進する考えを示した。
ナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで「国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく我々の立場には非常に強い根拠がある」と反論。「仮にこの論点で敗訴しても、裁判所は基本的に他の手段を講じればよいとの見解を示している」と主張した。国際貿易裁はトランプ氏が1977年のIEEPAを不当に適用したとし、従って同法を根拠に世界の貿易相手国・地域に課した関税は違法だと結論付けた。
またナバロ氏は通商法122条を根拠に最大15%の関税を150日間適用する措置などを例に挙げ、グリア通商代表部(USTR)代表が利用可能な手段について近く説明すると語った。
原題:US May Take Trump Tariff Case to Supreme Court on Friday (1)、Trump Appeals on Tariffs While Mulling Other Ways to Impose (2)(抜粋)
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