(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は27日、ECBは2%のインフレ目標に近づいてはいるものの、不確実性の高まりで金利の動向は予測できず、最大限柔軟な対応が必要だと述べた。
ナーゲル氏はドイツのマンハイムで、「目標はついに手の届くところまで来た」とした上で、「道筋は正しいが、なお不安定な状況が続いている」と述べ、基礎的な物価上昇率とサービス部門の根強いインフレを指摘した。
6月5日に開催される次回政策委員会合で利下げするかどうかについて、ナーゲル氏は、まだ判断は早いと述べ、データに基づき会合ごとに対応するECBの方針を強調した。
ナーゲル氏は「もし私たちが、これまでこの柔軟性を実践していなかったとしたら、今まさに採用せざるを得なかっただろう。現時点では特定の金利パスに確実にコミットするのは不可能だからだ」と述べた。

インフレが後退し、米国による関税措置が経済に逆風となっていることから、ECBは次回会合で利下げすると広く予想されている。一部の当局者は、経済活動を抑制も支援もしない水準とされる2%未満に中銀預金金利を引き下げることに前向きだが、他の当局者は、今後予想される物価上昇圧力を指摘し、慎重な対応を主張している。
ナーゲル氏は、トランプ米大統領の政策が不確実性の要因となっていると強調した。また、「ドイツとユーロ圏全体は、米国の関税政策により、目に見える損失を受ける可能性が高い」としつつ、インフレへの影響はそれほど明確ではないと述べた。

ECBは次回会合で、最新の経済予測を発表する。ナーゲル氏は、通商を巡る不確実性により、最新の予測は「従来より確固たる根拠に欠けるものとなる」と述べた。
一方、インフレについては、「貿易摩擦の行方や為替レート、サービス価格、財政パッケージなどの要因次第では、現在の予想よりも高くも低くもなる可能性がある」と述べた。
原題:ECB Is Close to Reaching Its Inflation Target, Nagel Says(抜粋)
--取材協力:James Hirai.
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