(ブルームバーグ):米クアルコムが委託した調査によると、同社のモデムチップはアップルが開発した競合製品よりも優れていることが判明した。性能の差は、人口密度の高い都市部における携帯電話利用者の間で特に顕著だった。
調査会社セルラー・インサイツのリポートによれば、ニューヨーク市におけるTモバイルの5Gネットワーク上において、アップルの自社製モデム「C1」を初めて搭載した「iPhone 16e」は、クアルコム製モデムを搭載したアンドロイド端末よりもダウンロード、アップロード共に速度が遅かった。この調査はクアルコムが資金を提供して実施され、ブルームバーグは結果を入手した。
アップルは、クアルコム製チップの代替として数年かけてC1を開発した。これは、外部サプライヤーの部品を自社の技術に置き換えるという広範な取り組みの一環。モデムチップは端末と携帯基地局とをつないで通話やインターネット通信を可能にするという、携帯電話にとって不可欠な部品だ。

リポートによると、C1搭載のスマートフォンは最適な条件下では十分な性能を示したものの、「次世代モデムの本領発揮が期待される肝心の場面」で後れを取ったという。「人口密度の高い都市部や屋内、アップリンク(上り通信)が多い環境で使用するユーザーにとって、アンドロイドのスマートフォンにおけるより優れた5G性能は、単に理論上というだけでなく、定量的に測定可能で、再現性があり、運用において極めて重要だ」と記されている。
アップルの担当者にはコメントを求めて連絡を取ったが、これまで返答を得られていない。
調査によれば、クアルコムの部品を搭載した同価格帯のアンドロイド端末2機種は、データのダウンロード速度が最大35%、アップロード速度は最大91%速かった。ネットワークの混雑時や端末が基地局から離れている状況では、速度の差はより顕著だった。
リポートはまた、iPhoneは「試験を実施したわずか2分間に触ってすぐ分かるほど熱くなったほか、画面の輝度が大幅に低下した」とも指摘した。ただし、実生活においてユーザーがデータ通信性能の低下を体感するかどうかについては言及していない。またバッテリー寿命などの問題についても、リポートでは触れられていない。
原題:Qualcomm Releases Study Showing That Its Modems Beat Apple’s C1(抜粋)
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