米検察当局は、人工知能(AI)企業の英ビルダー・ドット・エーアイに対し、財務諸表などの資料提出を求めていたことが分かった。同社が経営破綻の数週間前から法的な精査の対象となっていたことを示すものだ。

ブルームバーグが確認した8日付の社内メールと事情に詳しい関係者の話によると、マンハッタンにあるニューヨーク州南部地区連邦地検から会計方針や顧客リストなどの情報提出を要請され、同社の法務責任者アディ・ビニャーシュ氏は関連書類の保全を社員に指示していた。

関係者によれば、この要請は経営陣の交代や財務問題に関する報道を受けたもので、連邦地検から送付された召喚状だった。

同社の業務内容は企業向けにオーダーメイドのスマートフォンアプリを開発する企業。創業者で最高経営責任者(CEO)を務めていたサチン・デブ・デュガル氏は2月に解任された。ブルームバーグは3月、同社が複数回にわたり売上高を水増したとする元社員の証言を報じていた。

ビルダー・ドット・エーアイは先週、破産手続きを監督する管財人の任命と、事業の清算開始を明らかにした。同社が売上高予測を4倍に膨らませていたことが発覚し、イスラエルの投資会社ビオラ・クレジットを中心とする債権者グループが大半の資金を差し押さえたことが、経営破綻の引き金になったと、ブルームバーグは5月22日に伝えた。

同社は2023年にカタール投資庁(QIA)が主導した資金調達ラウンドで約15億ドル(現在のレートで約2100億円)と評価されていた。マイクロソフトも同年に戦略的提携の一環として出資。ソフトバンクグループ傘下のベンチャーキャピタル、ディープコアも投資していた。

マンハッタンの連邦地検はコメントを控えており、ビルダー・ドット・エーアイとデュガル氏にもコメントを求めたが、回答は得られていない。

原題:US Prosecutors Sought Builder.ai Data After Sales Overstated (1)(抜粋)

--取材協力:Newley Purnell、Chris Dolmetsch.

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