(ブルームバーグ):北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、国防費を対国内総生産(GDP)比で5%に引き上げる新たな目標について、6月にオランダ・ハーグで開催される首脳会議で採択を目指すことを確認した。当初は非現実的と受け止められていたトランプ米大統領の要求に対応する。
ルッテ事務総長は、米国で開催されたNATO議会会議での質問応答で、「ハーグでは国防費目標を計5%に引き上げることで合意すると考えている」と述べた。
オランダのスホーフ首相は、5%という数字がルッテ事務総長によって提案されたと明らかにしており、ブルームバーグはNATO加盟国が急ピッチで合意形成に動き出していると報じていた。ルッテ氏が公の場でこの目標を支持したのは今回が初めて。

提案では、国防費をGDP比3.5%とし、関連支出として追加で1.5%を拠出することを目標に掲げている。ルッテ氏は具体的な数字は確認しなかったが、国防費については「3%を大幅に上回る」見通しだと述べた。
トランプ氏は1月、NATO加盟国に対し、国防費を対GDP比で5%に引き上げるよう要求。それ以前にはNATO脱退をちらつかせていたほか、十分な国防支出を行った同盟国のみを保護するとの考えを示していた。5%という数字は同氏が最初に言及した時点では広く非現実的とみられていたが、現在では欧州の同盟国およびカナダは、国防費を大幅に拡大する必要があるとの理解に達している。
NATOが4月に発表した年次報告書によると、加盟国32カ国中、現在の国防費目標である対GDP比2%を達成したのは23カ国のみ。ただ、全ての国が夏までに目標を達成すると見込まれていると、ブルームバーグは伝えている。
原題:NATO Chief Rutte Says Members Moving Toward 5% Spending Target(抜粋)
--取材協力:Katharina Rosskopf.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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