(ブルームバーグ):需給不安を背景とした超長期金利の上昇圧力が長期金利にも及びつつある中、債券市場関係者は28日の40年利付国債入札に警戒を強めている。
27日の債券市場では、前日まで2営業日連続で上昇(金利は低下)した流れを引き継ぎ超長期債に買いが入り、新発40年債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い3.435%に急低下。新発30年債利回りも10bp下がり、2.935%になるなどボラティリティーが上がっている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、最近の金利上昇で投資家のリスク許容度が低下しており、「強めの札を入れる投資家は少なそうだ」と予想。入札が不調に終われば長期金利は高値を更新するとみている。
20日の20年債入札が記録的な不調に終わって以降、超長期債は不安定さを増し、30年、40年債利回りは過去最高を更新した。政府支出の拡大を背景に長期金利は世界的に急上昇しているが、日本のイールドカーブ(利回り曲線)の傾斜化は特に顕著だ。
金利上昇は政府の借り入れコストを押し上げ、米国の関税政策に対応するための財政出動や、防衛費拡充といった政策運営に制約をもたらしかねない。長期金利は既に2008年以来の高水準で推移しており、超長期債への売り圧力が償還期間の短い国債に波及すれば、企業や家計の資金調達コストを押し上げ、景気の下押し圧力となるリスクも意識される。

太陽生命保険の佐藤義剛運用企画部長は「金利水準は投資したい水準に達しているが、流動性がなく値動きが大き過ぎるので、投資するタイミングを考えざるを得ない」と語る。同社は25年度に超長期債を中心に国内債券を2700億円程度積み増す計画だが、「投資を一部見合わせなければならない可能性もある」と言う。
20年発行の40年13回債が元本の半分以下に下落するなど、保有国債の含み損を抱える投資家も多い。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、超長期債は需要に比べて発行額が多過ぎるという構造的な要因があると話す。「日本銀行や財務省から需給面で救いの手が差し伸べられない限り、投資家にとって手を出しにくいゾーン」だとの見方を示した。
好調な入札結果を予想する市場関係者もいる。40年債入札は利回りの低い順に落札し、入札金額が発行予定額に達した時点で最も高い入札利回りを一律に適用する「イールドダッチ方式」が採用されているからだ。また、今年度の1回当たりの発行額は7000億円程度から5000億円程度に減額される。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、金利水準の高さや発行減額に加え、投資家に有利な入札方式のため、「結構良い入札になる」と予想。過度の金利上昇を止めるきっかけになるかもしれないと期待している。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストも、40年債入札には警戒感があるものの、新発債として発行されることや利回り水準の高さから、順調に消化されるとの期待が高まっていると指摘した。
(2段落以降に27日の債券市場の動きや市場関係者の見解を追記)
--取材協力:グラス美亜.
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