ドイツのメルツ首相は26日、ウクライナは同盟国から供与された兵器を用いて、ロシア本土の深部へ攻撃を行う許可を得たと述べた。

「ウクライナに供与された兵器については、英国、フランス、ドイツ、さらには米国からも、射程距離に関する制限はもはや一切ない」と、ベルリンで開催された会議で発言。「つまり、ウクライナはロシア国内の軍事拠点も攻撃することで自衛可能になる」と語った。

米国はこれまで、ロシア国境付近における米国製長距離地対地ミサイル「ATACMS」の配備を認めている。一方、英国は長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」のロシア領内深部への使用を承認した。ドイツは長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与を長らく拒んできたが、メルツ首相は供与に前向きな姿勢を示している。

ロシアはウクライナに対し、ミサイルやドローン(無人機)による過去最大規模の攻撃を実施しており、ウクライナの西側同盟国はロシアに対する圧力を強めようとしている。停戦協議が停滞する中で、欧州の首脳はロシアによる「時間稼ぎ」を強く非難している。

ベルリンの会議で語るドイツのメルツ首相(5月26日)

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア領内の兵たんネットワークや部隊、兵器を標的にする許可を再三要請してきた。ロシアによる攻撃の激化や、プーチン大統領が本格的な停戦協議に応じようとしない姿勢を受け、この訴えへの共感が広がっている。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官はインタファクス通信に対し、長距離兵器による攻撃を認める決定が事実であれば政治的解決に向けた努力を損なう恐れがあるとし、「危険」な決定だと語った。

こうしたロシア側の反応は、プーチン氏がウクライナとの戦争を継続する意向であることを示している。米国の圧力にもかかわらず、プーチン氏は強硬的な要求を堅持している。

メルツ氏はまた、独政府はウクライナへの軍事支援を維持するために「可能な限りのことを行う」と述べた。事情に詳しい関係者によれば、ゼレンスキー氏は28日にベルリンを訪問する予定。

原題:Merz Gives Ukraine Green Light to Strike Deep Inside Russia (1)、Merz Gives Ukraine the Green Light to Strike Deep Inside Russia(抜粋)

(背景やロシア大統領府報道官のコメントなどを追加して更新します)

--取材協力:Samy Adghirni、Daryna Krasnolutska.

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