(ブルームバーグ):中国の大手銀行に対し越境取引を進める際に人民元の使用比率を引き上げるよう中国人民銀行(中央銀行)が要請した。事情に詳しい関係者が明らかにした。米国による大規模な関税措置に世界が直面する中で、人民元の利用を促す中国の新たな取り組みだ。
人民銀はいわゆるマクロプルーデンシャル評価調整の一環として、人民元建て貿易取引の最低比率を25%から40%に引き上げた。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
この比率は強制ではないものの、基準を満たさない銀行は規制当局の審査で低い評価を受けることが多く、将来の業務拡大に影響を及ぼす可能性があるという。人民銀はコメント要請にすぐには応じなかった。
今回の大幅な比率引き上げは、国際貿易における人民元使用拡大の加速を目指す中国当局の強い意志を示すものだ。トランプ米大統領による大規模な関税措置がドル建て資産の国際的な魅力に対する懸念を高める中で、人民元需要に大きな影響を及ぼす可能性がある。
実際、トランプ氏は対中関税を一時は最大145%まで引き上げ、世界経済と金融市場に衝撃を与えたが、中国が報復関税で応じた後、両国は90日間の休戦に合意している。
中国の2024年におけるモノの輸出入総額は43兆8000億元(約870兆円)に達し、人民元による越境決済の割合は30%に上ったと、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は1月に述べている。
中国当局はここ数カ月、人民元の越境利用を積極的に推進してきた。先月には上海における越境金融サービスの利便性向上を進める方針を示し、越境決済の効率改善や為替ヘッジサービスの最適化などを掲げた。
銀行は人民元の利用を促すため輸出入業者に対して手数料を割引することもできる。
原題:China Raises Cross-Border Yuan Use Requirement for Major Banks(抜粋)
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