トランプ米大統領が新たな関税を発表し、世界の金融市場を混乱させる直前に富裕層向けに資産管理運用を行うファミリーオフィスが米国株への投資を増やしていた。

欧州の名門一族やヘッジファンド界の富豪ノーム・ゴッテスマン氏、免税店事業で財を成したアラン・パーカー氏のファミリーオフィスはいずれも、トランプ氏の「解放の日」が市場を揺るがす数日前の3月31日に終了した四半期に米国株の保有を増やしていたことが、米証券取引委員会(SEC)への13F報告書で明らかになった。

ロンドンを拠点とする投資会社でスウェーデンの富豪ラウシング家向けに運営されているアルタ・アドバイザーズは、同期間中にエヌビディア、アップル、アマゾン・ドット・コムなど米国の大型上場企業100社超に投資を広げた。

ゴッテスマン氏のトムズ・キャピタルも、エヌビディアを含む9銘柄を新たにポートフォリオに加えた。パーカー家のケムネイ・アドバイザリー・サービスも、十数社の米国上場企業への投資を拡大した。

これらの動きは、4月2日のトランプ氏による広範囲な関税措置発表が金融市場を混乱させ、米国株の時価総額がわずか2営業日で6兆ドル(約870兆円)吹き飛び、多くの投資家が不意を突かれたことを物語っている。S&P500種株価指数は同月8日に年初来安値を付けた後、約19%上昇している。

メキシコのカルロス・スリム氏やスウェーデンのペルソン家などの富豪一族はすでに保有していた株式を市場混乱の中で買い増し、現在大きな含み益を抱えている。

米国株で1億ドル超の運用資産を持つ運用会社は、各四半期末から45日以内に保有株式の一覧を13F報告書として提出する義務がある。報告書はヘッジファンドや大規模ファミリーオフィスの投資動向を垣間見る数少ない手がかりの一つとなる。

原題:Family Offices Added US Stocks Ahead of Trump’s ‘Liberation Day’(抜粋)

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