(ブルームバーグ):中国の有力マクロ戦略ヘッジファンドである上海半夏投資管理中心は、本土の株式市場で銀行株を売却している。不動産危機が一向に収束する気配がなく、不良債権の増加が加速するとみているためだ。
上海半夏は4月の投資レターで、「不動産価格の下落が深刻化する中で、住宅ローンや事業融資におけるリスクが急速に高まっている」と指摘した。
ブルームバーグが確認したレターの写しによると、同社は「銀行システム全体の不良債権リスクも急激に膨らんでいる」と警戒している。創業者の李蓓氏はコメントを控えた。
中国の不動産市場は政府による需要喚起策にもかかわらず、4年連続で値下がり。加えて、米国との貿易摩擦が景気と銀行セクターをさらにむしばむ恐れがある。
5月11日付の投資レターによれば、住宅ローンや多くの事業融資の担保となっている中古住宅の価格は、2021年6月からの下落率が25%近くに達し、このペースが続けば年末には30%になる。
これは、住宅の価値が頭金の平均水準にまで下がることを意味し、住宅所有者のローン返済意欲が薄れ、差し押さえのリスクが高まるとしている。住宅ローンと事業融資の残高は約60兆元(約1210兆円)。
上海半夏は「現在の銀行株保有がリスクに見合わないことを示唆している」と分析し、ポートフォリオの1割超を占めていた銀行株の大半を最近売却したと説明。保有比率をゼロまで減らす方針も明らかにした。
一方、本土株市場ではCSI300金融株指数が今月に入り約5%上昇しており、上海半夏の銀行株売りは逆張りと言える。
投資信託に関する新たな規定により、長らく保有比率の低かった金融株への資金流入が見込まれているほか、当局の後押しで保険会社の資金投入も進み、高配当の銀行株には追い風となっている。
登記データによると、上海半夏の運用資産は50億元余り。旗艦のマクロファンドは17年以降、年率平均15.9%のリターンを記録している。
原題:Hedge Fund Banxia Dumps China Banks on Bad Loan Warning(抜粋)
--取材協力:Emma Dong、Zheng Li.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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