(ブルームバーグ):12日の取引で米国株先物が急上昇し、ドルも値上がりした。米国と中国がスイス・ジュネーブで開催した貿易協議で、関税率を一定期間引き下げることで合意したことを受けた。金は急落した。
ベッセント財務長官が協議について「非常に力強く生産的だった」と評価したことを受け、あらゆるリスク資産が上昇した。
S&P500種先物の上げ幅は3%を超えた。ナスダック100指数の先物は一時4%高となり、再び強き相場入りする勢い。エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、アップル、テスラは米国時間早朝の時間外取引でいずれも5%を超える上げで、今年の下げの一部を大きく取り戻しそうだ。
ドルはユーロと円に対し1カ月ぶりの高値。円に対しては一時2.2%高の148円59銭まで上伸した。利下げ観測の後退を背景に米国債は売られ、10年債利回りは7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.45%を付けた。金相場は3%を超える下げ。
また、香港上場の本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数および香港株の指標、ハンセン指数はともに一時3.6%上昇。中国のCSI300指数は米中からの発表のタイミングと重なる形で12日の取引を1.2%高で終え、トランプ氏が「解放の日」と銘打った4月2日からの下げを全て取り戻した。
オフショア人民元も対ドルで上げ幅を広げ、約0.4%上昇した。
米中協議の進展は、二大経済大国の貿易戦争がエスカレートし、世界経済をリセッション(景気後退)に追い込むのではないかと懸念していた投資家に安堵(あんど)をもたらした。
チューリッヒ保険のチーフマーケットストラテジスト、ガイ・ミラー氏は「米国が深刻で長期的なリセッション(景気後退)に陥るリスクはなくなった」との見方を示し、「企業業績の観点から言えば、収入に対する逆風は明らかに弱まった」と述べた。
エコフィの株式ファンドマネジャー、カレン・ジョージス氏は株式相場の反発について「多くのキャッシュを抱える機関投資家が株式への投資比率拡大を検討しているタイミングで起きた」と指摘した。

原題:US Stock Futures and Dollar Surge on Tariff Truce: Market Wrap、Chinese Stocks Jump After Agreement with US on Tariff Reductions(抜粋)
(相場を更新し、市場関係者のコメントを新たに加えます)
--取材協力:Joanne Wong.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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