30年国債利回りが約25年ぶりの水準に上昇した。米中貿易協議に対する楽観的な見方から安全資産である国債の売りが進んだ。13日に実施される30年国債入札も警戒され、売り圧力が強まっている。

12日の債券市場で新発30年国債利回りは一時前週末比5ベーシスポイント(bp)高い2.955%に上昇し、2000年11月以来の高水準を付けた。トランプ関税を巡る不透明感から債券相場のボラティリティーが上昇する中、価格変動リスクの高い超長期債を敬遠する投資家の売りが続いており、9日に付けた04年以来の高水準2.91%から上昇が一段と加速した。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、財政拡大懸念がくすぶり、超長期債は流動性が低下して金利上昇リスクが高いとし、割安な水準といっても買いが入りづらいと指摘した。

米中が週末の貿易協議で「著しい進展」があったと発表し、両国の対立緩和への期待が広がっている。米当局者によれば、ベッセント長官とグリア米通商代表部(USTR)代表は日本時間午後4時から記者会見を行う。米国が課す高い関税率が引き下げられれば、世界景気の減速懸念が和らぐとの期待感が高まる。

 

13日に30年入札を控えていることも投資家の購入意欲が減退している要因だ。30年を皮切りに4週連続で超長期債の入札があり、需給環境の厳しさが意識されている。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、「超長期債の買いを後押しする材料が見当たらない」と指摘。30年債利回りは「いつ3%台に乗せても不思議ではない状況」との見方を示した。

野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、超長期債市場では日本銀行の国債買い入れ減額と生命保険会社の需要減少という不可逆的な構造の変化が起きているとし、30年金利の上昇が3%で止まる保証はないと述べた。

過去最高利回りが視野に

30年国債利回りが00年11月に記録した、1999年9月の発行開始以降の最高水準3.03%に到達するのは時間の問題だ。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、日銀利上げ観測の後退で短い年限の債券が保有しやすい一方で超長期債は買いづらく、「超長期債需要に対し供給が多いという構造的問題が解消されない限り、金利上昇は止まらないのではないか」と話した。

(第8、9段落を追加します)

--取材協力:日高正裕.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.