(ブルームバーグ):日本銀行が次の利上げを急がないとの見方から国債市場が落ち着きを取り戻しつつある中、投資家やトレーダーは31日、政策金利との連動性が高い2年物国債の入札に臨む。
高市早苗新政権下で初となった30日の金融政策決定で、日銀は政策金利の据え置きを7対2の賛成多数で決めた。植田和男総裁の会見で利上げ時期を示唆するような発言もほぼなく、一夜明けた31日のスワップ市場の年内の利上げ織り込みは45%程度にとどまっている。同確率は月初に約80%まで上昇していた。
市場関係者の間では、前回入札が政治的不透明感などから不調に終わった反動に加え、植田総裁の発言が想定ほどタカ派的でなかったことから、今回は堅調な需要を集めるとの見方が広がっている。2年債利回りは30日、日銀の政策発表を前に神経質な動きとなり、一時2008年以来の高水準に並んだが、最終的に低下して取引を終えた。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、今回の入札は「無難な結果に終わる」と予想する。市場ではすでに年度内に1度の利上げが12月または1月に実施されるとの見方が織り込まれており、2年債利回りはその水準をほぼ反映して推移していると述べた。
 
2年債入札の結果は午後0時35分に発表される。投資家需要の強弱を示す応札倍率や、落札価格の最低と平均の差(テール)に注目が集まる。前回9月の入札では、日銀が10月会合で利上げするとの懸念から需要が伸びず、応札倍率は2.81倍と09年以来の低水準となった。
もっとも、日銀に対する早期利上げへの圧力はくすぶっている。ベッセント米財務長官は日本政府に対し、インフレ抑制に向けて日銀に十分な裁量を与えるよう呼び掛けた。円相場は30日、対ドルで2月以来の安値を更新し、通貨安を抑えるための利上げ圧力も強まる。米政府機関の閉鎖で参照できる経済指標が限られる中、金融市場は日米の金融政策運営を見極める局面が続く。
2年債利回りは30日午後、0.95%から0.925%に低下した。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは入札について、前回と比べ投資環境の不透明感は和らいでおり、「12月の利上げは難しいとみる投資家の需要が集まるだろう」と予想する。ただ、利回りの低下で需要不足になる可能性は完全には否定できず、今の水準で無理に買う必要はないと感じる投資家がいても不思議ではないとも語った。
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