(ブルームバーグ):一部の高級ブランドが中国で大幅な値引きを控えている。ブランドの特別感を再び演出し、景気減速下でも購買力がさほど衰えない富裕層を呼び戻そうとする戦略だ。
データ分析会社リ・ハブによると、フランスのケリング傘下の「バレンシアガ」は今年1-3月(第1四半期)に中国の主要電子商取引プラットフォーム「天猫(Tモール)」で販売した商品でも、昨年11月の中国最大の年次オンラインショッピングイベントでも、一切値引きしなかった。
昨年1-3月期にTモールでの割引率が平均約41%に達していたことを踏まえると対照的だ。
プラダによる買収が予定されている「ヴェルサーチェ」も1-3月期にTモールでの値引率が平均3%にとどまり、前年の12%を大きく下回った。

イタリアの高級ブランド、ヴァレンティノもTモールで1月に値引き対象商品を減らし、2月と3月には全く値引きしなかった。

需要不振の中国市場で一見逆行するようにも見えるディスカウント回避の動きは、中国市場における高級ブランドの戦略転換を示すものだ。
リ・ハブのマックス・ペイロ最高経営責任者(CEO)は「従来のように短期的な売り上げや集客を狙うのではなく、ブランドへの長期的な愛着心を育てる動きへの転換だ」とした上で、「これは単なる運営上の変更ではなく、根本的な見直しだ」と指摘する。
ペイロ氏によれば、値引きが売上高の伸びをけん引する効果が薄れているほか、ブランド価値を損なうリスクもあるという。
「エルメス」や「シャネル」、「ルイ・ヴィトン」など、オンラインでの値引きをほとんど行ってこなかった特別感のある高級ブランドでさえ、中国の富裕層に向けて「限られた人だけが楽しめる」という特別なイメージを保つ取り組みを強化しており、VIP限定イベントや店内ミュージアムのような買い物体験などを提供している。
原題:Luxury Labels Ditch Steep China Discounts to Rebuild Brand Value(抜粋)
--取材協力:Claire Che.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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