(ブルームバーグ):米メタ・プラットフォームズがソーシャルメディア市場を独占しているとして米政府が同社を相手取り提訴した訴訟で、傘下の写真・動画共有アプリ、インスタグラム責任者のアダム・モッセーリ氏が8日、ワシントンの連邦裁判所で証言した。
モッセーリ氏は4週目に入った反トラスト法(独占禁止法)訴訟で、政府側の主張に反論。インスタグラムが動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」に対抗するために動画コンテンツに力を入れる中、家族や友人と交流するための投稿は、同プラットフォームのコンテンツのごく一部に過ぎないと主張した。
2018年にインスタグラムの責任者に就任したモッセーリ氏は、自身の入社以来、ソーシャルメディア市場は「劇的」に変化したと説明。現在インスタグラムは、TikTokをはじめとする競合との激しい競争に巻き込まれており、いずれのプラットフォームも同じような機能を提供し、30歳未満の中核ユーザー獲得を争っていると主張した。

インスタグラムがTikTokに対抗するため動画エンターテインメントを強化する中、ユーザーがインスタグラムを利用する目的も変化したと証言。現在インスタグラムの動画機能「ストーリーズ」への投稿のうち、友人や家族との交流を目的とするものは6件のうち1件に過ぎないと説明した。
米連邦取引委員会(FTC)が提起した今回の独禁法訴訟で、TikTokの台頭はメタにとって重要な反論材料となっている。
FTCはメタに対し企業分割を求めており、インスタグラムおよび通信アプリ「ワッツアップ」のスピンオフ(分離・独立)を目指している。FTCの主張が認められるかは、家族や友人との交流を主な目的とした「パーソナル・ソーシャル・ネットワーキング・サービス」市場において、メタが独占状態を獲得・維持していると立証できるかにかかっている。
メタの弁護団はこの日、2019年9月のインスタグラムの内部文書を提示。この文書には「TIKTOKとの競争は大きな懸念材料」と大文字で記されている。インスタグラムの調査チームは、同プラットフォームに費やされる時間が「控えめに」見積もっても前年比で40%減少したのは、TikTokの台頭によるものだと判断していた。
モッセーリ氏は「成長しているか、ゆっくりと死んでいるか」という二者択一の中、「われわれにとっては成長が全てだ」と述べた。
原題:Instagram Chief Says App Has Feared TikTok Threat for Years(抜粋)
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