(ブルームバーグ):来週も円相場には下落圧力がかかる公算が大きい。トランプ米政権が英国と貿易協定で合意したことで、中国など他の国や地域との交渉が進むとの楽観的な見方が広がり、リスクオン(選好)の円売り・ドル買いが続きそうだ。
市場関係者の見方
◎あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト
- ドル・円は143円から148円程度のレンジを予想。投機筋のポジションがかなり拡大しており、リスクオンの地合いになると円が売られやすくドルは買われやすい
- 米英の関税合意が好感されてドルは買い戻されたが、英国は特別な位置にあることから、日本や中国はまだ紆余(うよ)曲折があり、単純なリスクオンにならない可能性がある。米中協議が妥結に向けた地ならしになるか、難航するかで市場の雰囲気が大きく変わり得る
- 経済指標では4月の米消費者物価指数(CPI)が注目される。市場予想は3月と同じで関税政策の影響が出て一気に上昇することはなさそう。上振れすればドルの支えになる
◎SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- ドル・円相場の予想レンジは142円台前半から146円台半ば。米中の交渉は期待ほどには進まず、147円台乗せは難しいとみる。結果が悪くてもドル売りが加速してトレンドを変えることはないだろう
- 英国との合意は第1次トランプ政権から引き継いできたもので新しい内容ではなく、他の国に当てはめるのは難しい。これでドルが底を打ったとは考えにくい
- 日本銀行が13日に発表する金融政策決定会合の主な意見が、ハト派的だった展望リポートや総裁会見よりタカ派的な内容になれば円売りを抑えそうだ
来週の主な予定
- 13日:日銀金融政策決定会合の「主な意見」(4月30日、5月1日開催分)
- 13日:4月の米CPI
- 16日:1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値
- 16日:日銀の中村豊明審議委員、西日本政経懇話会で講演
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