(ブルームバーグ):米中貿易戦争や地政学的緊張が引き起こしている経済の混乱を背景に、2025年のウォール街のボーナスは減少が見込まれる。
とりわけ、投資銀行業務を手掛けるバンカー、ヘッジファンド運用者、資産運用・ウェルスマネジメント担当者らのインセンティブ報酬が大きく減る見通しだ。
報酬コンサルタント会社ジョンソン・アソシエーツが8日公表したリポートによると、24年の好調な実績とは対照的に、業界の25年のボーナス水準は減少する見込みだという。
同社マネジングディレクターのアラン・ジョンソン氏はインタビューで「25年初頭には勢いと楽観があったが、今は一変している」と語った。「現在の予想では、報酬は高水準から幾分減少する見込みだ」という。
トランプ米大統領による関税政策の混乱が企業の買収意欲を冷やし、投資銀行業務の需要を縮小させたことがボーナス見通しを悪化させた。
一方で、相場のボラティリティー(変動性)が高まったことで、株式トレーダーの需要が急増しており、この職種のボーナスは15-25%増加が見込まれる。債券トレーダーも10-20%増が予想されている。
「大手銀行の一部トレーダーは、ボラティリティーの恩恵を受けて好調な結果を出している」とジョンソン氏は語った。
ただ、他の業務にとっては「この不確実性は望ましくない。金融業界全体は安定性を必要としている」と指摘した。

関税を巡る混乱が続く限り、ボラティリティーは高止まりし、企業は買収や資金調達を控える姿勢を強めるとみられる。
ジョンソン・アソシエーツのリポートによれば、アドバイザリー部門のボーナスは最大10%減少する見通し。
株式市場の変動を背景に、企業による株式発行も減少傾向にある。株式による資本調達を支援するバンカーのボーナスは、最大で20%減になる可能性があるとジョンソン氏は指摘した。
またウェルスマネジメント業務に対する需要は依然強いものの、相場下落がその恩恵を打ち消しており、ボーナスは最大7.5%減少の見通し。
資産運用業務も、株式からの資金流出と相場下落を受けて5ー10%の減少が予想されている。
原題:Banker Bonuses Set to Drop as Tariffs Cause Economic Uncertainty(抜粋)
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