(ブルームバーグ):日本銀行の植田和男総裁は8日、米国の関税措置による国内物価への負の影響も無視できないとの認識を示した。参院財政金融委員会で語った。
植田総裁は、トランプ米政権が実施している関税政策の影響を巡る不確実性は高いと指摘。米関税による「経済の下押しなどを通じて、わが国の物価にマイナスの影響を及ぼすという経路も無視できない」と語った。
日銀が示している2027年度までの見通し期間の後半に向けて、基調的な物価上昇率が2%に向けて歩みを再開するとみていると説明。見通しが維持される限りにおいて、金融緩和度合いを適切なペースで調整していくのが政策の基本方針だとしつつ、「経済動向は不確実性が高く、丁寧に見ていきたい」とした。
日銀は1日の金融政策決定会合で政策維持を決めた。トランプ関税によって世界経済の不確実性が一段の増す中で、経済・物価見通しを下方修正するとともに、2%の物価安定目標の実現時期を1年程度先送りした。総裁は利上げ継続方針が維持されていることを説明しつつ、見通し実現の不確実性を改めて強調した形だ。
消費者物価指数の上昇率が日銀の目標を超えて推移していることに関しては、「2%をかなりの期間超えているということが国民生活にマイナスの影響を与えていることは十分に認識している」と発言。特に、食料品価格の上昇が基調的な物価上昇率に影響を及ぼす可能性を注視していく考えを示した。
(発言の詳細を追加して更新しました)
--取材協力:氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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