(ブルームバーグ):NTTは8日、上場子会社のNTTデータグループを完全子会社化すると発表した。株式公開買い付け(TOB)を実施し、総額約2兆3700億円を投じる。
発表によると、買い付け価格は1株4000円で、期間は9日から6月19日を予定する。日本経済新聞が情報源を明らかにせず先に報じており、NTTデータ株は8日の取引で東京市場で値幅制限いっぱいとなる前日比17%高の3492円で買い気配となっていた。
発表資料では、今後北米市場など海外でのプレゼンス確立や人工知能(AI)技術を活用したサービスへの成長投資を進めると説明。AIを軸に競争が激しくなる中、世界3位のデータセンター事業者であるNTTデータを完全子会社化して迅速な経営判断を図る。
8日に開いた会見で、NTTデータの佐々木裕社長はグローバルでの「競争に打ち勝っていくためには大胆な投資が時として必要になる」と説明。完全子会社化で財務基盤を強固にし、「臨機応変な投資にも対応したい」と意気込んだ。
親子上場も解消することになる。東京証券取引所は2月に「親子上場等に関する投資者の目線」を公表。少数株主保護の観点からも投資家の不満が多い親子上場の在り方について改めての検討や情報開示の強化、投資家との対話を促していた。
24年にはNECが、NECネッツエスアイの完全子会社化を発表した。イオンも4月、イオンモールの完全子会社化に関する株式交換契約を締結するなど、東証上場企業の間で親子上場解消の動きが進んでいる。
NTTデータの2025年3月期の営業利益予想は前の期比8.5%の3360億円で、NTT全体の営業利益の約2割を占める。NTTの発表資料によると、NTTはNTTデータ株の57.73%を保有する。
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