(ブルームバーグ):ドイツの高級ファッションブランド、ヒューゴ・ボスは、中国で製造した製品の輸出先を米国から他の国・地域に切り替えている。トランプ米政権の関税措置が、国際貿易に変化をもたらす兆しがうかがえる。
ヒューゴ・ボスの対米輸出に中国製品が占める割合は、現時点で約4%にとどまっているが、これを他の国・地域に振り向ける一方、米国市場向けにはペルーやトルコなど、関税の影響が比較的小さい国から調達を増やしている。ダニエル・グリーダー最高経営責任者(CEO)が明らかにした。関税の影響緩和のため米国の在庫積み増しも行っている。
ヒューゴ・ボスは6日、1-3月(第1四半期)決算で利益が市場予想を上回ったと発表。通期の利益・売上高見通しを据え置いた。
グリーダー氏はアナリストとの電話会議で、「あらゆる方向に対応できるようオープンで柔軟な姿勢を心掛けている」と述べた。
6日の株式市場で、ヒューゴ・ボスの株価は一時10%上昇したが、その後上げ幅を縮小。年初来ではなお約15%下げている。
若年層向けにブランドを再構築してきたグリーダー氏は、個人消費が勢いを欠く昨年からの状況に対処し、業務効率改善に加え、サッカーの元イングランド代表デービッド・ベッカム氏を起用した販促キャンペーンも進めている。
米国は同社の年間売上高の約15%を占め、2023年には単一市場で最大だった。しかし、グリーダー氏によれば、リセッション(景気後退)不安やトランプ政権の政策の影響で、米消費者心理は今年に入り「明らかに軟化した」という。
訪米中のグリーダー氏は「米国の状況は非常に厳しい」と指摘し、今年最初の数カ月で「アウトレットモールの来客数が20-30%減少しており、重大な懸念材料だ」と発言。ただ、関税引き上げに対応し米国で値上げするかどうかは、顧客のロイヤルティー維持の必要性とコスト増のバランスを見ながら慎重に判断すると語った。
原題:Hugo Boss Stockpiles in US, Reroutes China Goods Due to Tariffs(抜粋)
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