米電気自動車(EV)メーカー、リビアン・オートモーティブは6日、2025年通期の出荷台数見通しを下方修正した。トランプ米大統領が仕掛けた貿易戦争によりEV需要が一段と冷え込むリスクがあるとした。

同社は1-3月(第1四半期)決算発表に合わせ、今年のEV(ピックアップトラック、スポーツタイプ多目的車=SUV、配達用バン)出荷台数が4万-4万6000台になるとの見通しを示した。4月初旬には最大5万1000台との予想を据え置いていた。

1-3月期の調整後1株損益は41セントの赤字。アナリスト予想の平均は79セントの赤字だった。通期の調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前損益)見通しは17億-19億ドル(約2340億-2720億円)の赤字を据え置いた。通期の粗利益は小幅のプラスと予想した。

出荷台数見通しの下方修正は、トランプ氏の貿易政策やそれに伴う景気懸念によって、既に鈍化しているEV需要がさらに悪化するリスクを浮き彫りにした。リビアンは以前示した見通しにも貿易などの政策転換の影響をある程度織り込んでいたが、トランプ氏はその後、対中上乗せ関税や自動車・自動車部品関税を発動。米欧の自動車大手は業績予想の撤回や巨額損失への備えを迫られた。

リビアンは全車両を米国内で生産しており、バッテリーセルを除く部品の大半は米国製ないし米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠していると説明している。

それでも同社のR・J・スカリンジ最高経営責任者(CEO)はインタビューで「コスト構造全体が数千ドル程度上昇する見込みだ」とし、「25年以降について明言するのは難しいが、コスト増は避けられないだろう」と語った。

リビアンの発表を受けて、6日の米株式市場引け後の時間外取引で同社の株価は一時1.5%安を付けた。今年に入って5日の通常取引終値まで1.9%上げていた。同時期のS&P500種株価指数はマイナス3.9%だった。

スカリンジ氏はまた、経済政策やEV政策のシフトにより消費者が値上がりに一段と神経質になっているため、同社の主力モデルであるR1シリーズ(SUVおよびピックアップトラック)の販売に影響が出る可能性があると指摘した。

原題:Rivian Cuts EV Delivery Outlook, Sees Tariff Impact (Correct)(抜粋)

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