(ブルームバーグ):2日の日本市場では株式が続伸した。日米の通商協議進展への期待から輸出関連株を中心に買いが優勢だった。円相場は1ドル=145円台前半に上昇し、債券は中長期債が買われた。
米国の上乗せ関税引き下げに向け協議が進むことへの期待が日本株の買いを促し、主要株価指数はいずれも今年最長の連続上昇となった。赤沢亮正経済再生相は米国との2度目の貿易交渉を終え、「率直かつ建設的な議論を行い前進することができた」と述べた。次回協議は5月中旬以降で調整する。
また、この日は中国商務省が米国との通商協議の可能性を現在検討しているとの報道官談話を発表。米中対立のこう着状態が変化する可能性が示唆された。
ATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トウィデール氏は、市場全体、特に日本にとってポジティブな兆候が見られると指摘した。
株式
株式は続伸。精密機器、医薬品、自動車など輸出関連株を中心に買いが優勢だった。個別銘柄では、米空調大手キャリア・グローバルの売上高見通し引き上げを受けてダイキン工業が買われた。
一方、日本銀行が利上げペースを緩める可能性が浮上し、銀行株が売られたことは相場の重しだった。SMBC日興証券アナリストの佐藤雅彦氏は、日銀が1日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通しなどを引き下げたことは「利上げ後ずれを再認識させる内容で、銀行株にはネガティブ」だとリポートで指摘した。
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=145円台前半に上昇。日銀の利上げ観測後退や米中関税交渉の進展期待で一時3週間ぶりの円安・ドル高水準を付けた後は、ドルに戻り売りが出た。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、「米国と各国との関税交渉が順調に進むとも考えにくいので、積極的にドルを買い続けるのも難しい」と指摘。ドルに対する極度の悲観は終わったものの、上値の重い展開を予想している。
債券
債券は流動性供給入札が順調な結果となり、中期債を中心に上昇した。米中の通商交渉への期待から売られる場面もあった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、流動性供給入札は強かったと指摘。日銀早期利上げ観測の後退で投資家が金利見通しを引き下げており、買いを入れた向きが多かったようだと述べた。
一方で、米中通商交渉の進展期待は市場センチメントを改善させるため金利は上がりやすくなると言い、「利回り曲線はスティープ(傾斜)化しやすく、超長期債が売られやすい地合いは変わらない」との見方も示した。
財務省が残存期間1年超5年以下を対象に実施した入札結果は、応札倍率が4.7倍と、3月14日に行われた前回の同年限の入札(3.9倍)から上昇した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ、長谷川敏郎、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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