中国商務省は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討しているとの報道官談話を発表した。トランプ米政権が関税引き上げに先月踏み切って以降、米中の交渉が始まり得る最初の兆しとなる。

商務省報道官は談話で、米高官が関税を巡り中国側と交渉する用意があると繰り返し表明していることに留意していると指摘。「誠意」を示すよう米国に促した。

報道官は「米国は最近、中国との協議開始を期待し、関係各方面を通じて中国側にメッセージを伝えてきている」とし、「中国はこの点に関して評価を行っている」と説明した。

中国商務省は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討しているとの報道官談話を発表

トランプ政権は米関税をここ100年で最も高い水準に引き上げ、中国も報復措置を講じた。今回の談話は、米中間のこう着状態が変化する可能性を示唆している。

トランプ大統領は関税協議を始めるには習近平国家主席が連絡してくる必要があるとの立場を繰り返している。ベッセント米財務長官も今週、緊張緩和に向けた最初の一歩を踏み出すのは中国側だとの認識を示した。

複雑な要素も

ユナイテッド・オーバーシーズ銀行のエコノミスト、ホー・ワイ・チェン氏は「これほど高い水準の対中追加関税は持続可能とは言えず、米中がある時点で交渉を始めると市場は予測している」と指摘。「交渉開始は再び市場のボラティリティーを高めることになるだろう。順調に進むとは見込まれないためだ」とも述べた。

一方、トランプ政権のサプライズ人事が米中関係に複雑な要素をもたらす可能性がある。トランプ大統領は1日、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を次期国連大使に指名すると発表。中国からの制裁対象となっているルビオ国務長官が当面、大統領補佐官を兼務することになった。

ルビオ氏が両ポストを務めることで、台湾問題など中国にとって主要な関心事項を巡る同氏の発言力は強まるとみられる。ルビオ国務長官はこれまでも南シナ海における中国の「不安定化行動」に対処する姿勢を示してきた。

 

ルビオ氏は1日夜に放送されたFOXニュースとのインタビューで、中国は米国との「短期的な妥協点」を模索しており、関税が中国経済に大きな打撃を与えていると認識していると語った。

「中国側は接触を図っている。彼らは会いたがっているし、協議したいと思っている」とルビオ氏は述べた。

ホワイトハウスと米通商代表部(USTR)、米財務省、米商務省の各担当者にコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。

交渉の条件

中国商務省は協議にオープンな姿勢を示しながらも、今回の談話は中国のこれまでの立場と整合的だと示唆。交渉の前提条件として、米国に対し「誠意を示すとともに、誤った慣行を是正し、一方的な関税を撤廃する準備を進める」よう求めた。

商務省報道官は談話で、「闘うならば最後まで付き合う。話し合うならドアは開かれている」とし、「中国が強調したいのは、いかなる対話や会談においても米国が誤った一方的な関税措置を是正しなければ、それは米国に誠意が全くないことを意味し、両国の相互信頼をさらに損ねることになるという点だ」とコメントした。

原題:China Says It’s Assessing US Talks, Hinting at Possible Thaw (2)(抜粋)

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