(ブルームバーグ):来週の円相場は引き続き上昇圧力が警戒される。米国で重要な経済指標の発表が続くため、景気懸念の高まりでトランプ大統領の利下げ要求や連邦準備制度理事会(FRB)批判が再燃するリスクがある。日本銀行が金融政策決定会合で利上げ継続姿勢を示し、円を支えるとの見方もある。
市場関係者の見方
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト
- 米国では雇用統計など指標が下振れても今年前半の利下げは期待しづらく、トランプ大統領のパウエルFRB議長批判が再燃するリスクがある
- 日銀は2027年度の物価見通しを2%前後として利上げ路線を維持するとみられ、世界で数少ない利上げ方向であることが円を買われやすくしている
- 米国の株安・債券安を受けて月末のリバランスではドル買いも予想される。1ドル=140-145円のレンジは変わらないが、ドルは上値が重く、指標次第で下振れしやすい
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長
- 日米の通商協議が気になる上、財務相会談も具体的なやり取りは明らかにならず、ドル高・円安是正の懸念は拭えない
- 米中貿易交渉は市場混乱を避けたい米国の意図が透けて見える一方、中国は関税撤廃に向けて強気姿勢で、先行きが見えてこない
- 円はロングポジションの巻き戻しで140円突破のリスクは後退しており、141-145円のレンジを予想する
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- 日銀は関税交渉の影響で当面の利上げが見通しづらくなっているが、利上げ継続姿勢を強調するとみており、会合が無風でも円売りにはならない
- 米国でソフトデータの悪化がハードデータに波及してくれば、FRBは利下げに傾き始めるだろう
- ドル・円は140円台から142円台を中心に、139-144円のレンジで推移すると予想
来週の主な予定
- 29日:3月の米求人件数、4月の米消費者信頼感指数
- 30日:1-3月の米国内総生産(GDP)速報値、3月の個人消費支出(PCE)価格指数
- 5月1日:日銀が金融政策決定会合の結果と経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表、植田和男総裁会見
- 1日:4月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数
- 2日:4月の米雇用統計
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