(ブルームバーグ):政府は25日、米国関税措置を受けた緊急対応パッケージを決定した。影響を受ける企業への資金繰り支援の強化などの5本柱を盛り込んだ上で、必要に応じて追加的な対応を行う方針も明記した。
対策は、企業への相談体制の整備、影響を受ける企業への資金繰りをはじめとした支援強化、雇用維持と人材育成、国内消費喚起策の強化と国民の暮らしの下支え、産業構造の転換と競争力強化の5本柱。これに加えて、米国との協議、企業や国民生活への影響をよく注視し「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的に必要な対応を行う」とした。
具体的には、2024年度補正予算や25年度予算に盛り込んだ国内消費喚起策の早期執行に加え、「自動車関税による影響を見極めた上で、必要に応じ国内需要対策のための効果的な施策を講ずる」としている。赤沢亮正経済再生相は同日の記者会見で、追加的対応が必要な場合の財源について「予備費を活用して対応することはあるが、補正予算の編成を検討している事実はない」と述べた。
この日発表されたパッケージの内容はこれまで発表済みの具体策が中心で、目新しさに乏しい。夏の参院選を控え、与野党から減税などを含む大型の経済対策を求める声が強まる中、まずは既存予算の執行を急ぐ姿勢を明確にした。今後の対応は日米関税協議の行方にも左右される。内閣支持率が低迷する中、どのような追加対策に踏み込むのか、石破茂首相の今後の経済運営が焦点となる。
石破首相は、米国との協議では「日本企業が投資や雇用創出を通じて米国経済に大きく寄与している事実を明確に伝えつつ、一連の関税措置の見直しを強く求めていくことが極めて重要」だとの認識を改めて述べた。関係閣僚に対しては、パッケージの効果的な活用を指示した。
パッケージに盛り込まれた主な対策
- 日本政策金融公庫などによるセーフティネット貸し付けの利用要件緩和
- 外的要因で業況が悪化した企業への金利引き下げ措置の対象拡大も検討-5月以降の適切なタイミングで実施
- コメ価格高騰対策、夏まで政府備蓄米の毎月売り渡しの検討に加え、さらなる対応策をちゅうちょなく講じることができるよう、検討
- ガソリン価格の定額引き下げ、7月から9月の電気ガス料金支援
- 国内回帰投資の推進やサプライチェーンの再構築、輸出市場の多角化や新たな販路開拓を加速
- 半導体・蓄電池・医薬品・農産品など重点分野の国内投資や輸出を促進
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