コメは“トランプ関税”をめぐる交渉でも焦点の一つとなっていて、アメリカ側が日本に対し輸入を拡大するよう求めています。

政府内の一部からは「輸入を増やして安くなれば、国民も喜ぶのではないか」との声もあがりますが、自民党内からは懸念の声が…

自民党 根本幸典 衆院議員 
「政府には米国としっかりと交渉をいただきたい」

また、政権幹部も…

政権幹部
「コメを交渉のカードにするのはありえない」

政府・与党がコメの輸入に慎重なワケ。そこにはおよそ30年前、コメの部分的な輸入解禁に踏み切った外交交渉が関係しています。

決断を下した当時の総理・細川護煕氏は、そのときの状況をこう振り返っていました。

細川護煕 元総理(去年12月)
「例え内閣が潰れてもですね、なんとしても腹をくくってやるしかないと」

“内閣の存続に関わる交渉だった”というコメの扱い。

交渉は農産物の輸入規制の撤廃が原則となる中、国内では自由化に反対する声が強く、政府は板挟み状態に陥りました。

去年、公開された外交文書には、生々しいやりとりが記録されていました。

渡辺美智雄 外務大臣(当時)の発言(1993年)
「日本では、コメというと極めて感情的な問題。国民はみな反対している」

宮澤喜一 総理(当時)
「5年間にわたって選挙に負け続けてしまう」

時の政権を左右するコメの扱い。夏に参議院選挙を控える中、自民党の幹部からは…

自民党 松山政司 参院幹事長
「安心して米を作り続けられる体制を作ることは国の責務でありますから、輸入米の拡大については極めて慎重な対応が必要」

日本政府は、来月1日にアメリカとの2回目の関税交渉に臨む方向で調整しています。