(ブルームバーグ):24日の日本市場では株式が続伸。トランプ米政権の中国に対する関税緩和観測に加え、ベッセント米財務長官の発言を受けて為替の円高懸念が後退し、自動車など輸出関連株が買われた。日米財務相会談を控え、海外時間に急落した円は反発。債券は中長期債や先物が上昇した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は23日、ホワイトハウス当局者の間で対中関税の引き下げが検討されていると報じた。全体的な対中関税率は50-65%に下がるという。また、ベッセント財務長官はトランプ政権が日本との通商交渉で為替レートの具体的な目標を追求するつもりはないと述べ、円相場は海外時間に1ドル=143円台半ばに下落していた。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、為替は2024年度の平均から10円ほど円高に振れており、企業業績への影響を無視できないため、数円でも戻せば一安心だと指摘。米政権が自動車部品の対中関税緩和を検討しているとの報道が実現すれば、国内自動車メーカーへの影響は大きいとも述べた。
株式
東京株式相場は続伸。ベッセント氏の発言や米国の対中関税緩和期待でトヨタ自動車を含む自動車や電機など輸出関連株が買われた。個別銘柄では、6月発売予定の家庭用ゲーム機「スイッチ2」の抽選に国内で約220万人の応募があったと明らかにした任天堂の上昇した。
ただ、為替の円安一服もあって午後の相場は伸び悩んだ。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、トランプ大統領の発言や為替、日米の金融政策の見通しが立てづらい状況で、企業から「例年以上に保守的な業績計画が出てくることも警戒されている」と話した。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=142円台後半に上昇。24日の日米財務相会談への警戒感から円買い・ドル売りが優勢になった。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、財務相会談はニュアンスを含めた内容が重要だとし、終了後の「コメント次第ではドル・円が下押すことも警戒される」と述べた。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、対中関税緩和に関してトランプ大統領から一部報道を否定するコメントも出ており、「ドルの上値を追っていくのは禁物だ」と話した。
債券
債券相場は中長期債や先物が上昇。午前はリスク選好の流れで売りが優勢だったが、2年債入札が予想を上回る順調な結果になったことを受けて買い安心感が広がった。米国の長期金利が時間外取引で低下したことも相場を支えた。
大和証券の小野木啓子シニアJGBストラテジストは2年債入札結果について、利回り水準不足との見方もあったが、「今の外部環境から判断して比較的しっかりとした需要があった印象だ」と述べた。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、2年債入札は海外勢の需要や担保的な需要、水準調整が成功して順調な結果になったとした上で、「これで市場の日本銀行の利上げ期待が低下したと評価するのは時期尚早」と述べた。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:山中英典、日高正裕、我妻綾、横山桃花.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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