(ブルームバーグ):UBSグループはインド株の投資判断を「アンダーウエート」から「ニュートラル」に引き上げた。世界的な貿易環境の不透明感を踏まえた投資戦略の見直しの一環としている。
UBSのスニル・ティルマライ氏らストラテジストは24日付のリポートで、ディフェンシブかつ国内志向型の銘柄を選好する動きが強まる中、南アジア市場に対する楽観的な見方が広がっていると指摘した。
「企業のファンダメンタルズに照らすと、バリュエーションは依然として割高に見えるが、貿易環境が不透明な中でもインドは国内中心の経済構造でディフェンシブな特性を示しており、原油価格の下落も追い風になっている」と説明した。
トランプ米大統領による貿易戦争が激化する中、インド資産が比較的安全だとして世界中の投資家から注目を浴びている。インド株の主要株価指数は米追加関税が発表された4月2日以降、急速に切り返している。
UBSは、預金の伸びが鈍いにもかかわらず預金金利の引き下げに前向きなインド銀行の姿勢や、政府による消費支援の可能性も投資判断引き上げの理由として挙げている。
一方でUBSは、香港株の投資判断を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げた。香港市場の貿易依存度の高さなどを考慮すると、関税リスクがセンチメントを冷やす可能性があるとみている。
インドネシアに関しては「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げ。ディフェンシブで国内志向の特性を持ち、現在のバリュエーションは新型コロナウイルス禍の低水準に近く、国有ファンドからの支援も想定されるという。
とはいえ、UBSはインドを「オーバーウエート」に引き上げるまでには至っていない。ストラテジストらは、株式のファンダメンタルズは「依然として精彩を欠いている」とし、政府が近いうちに成長や投資に重点を戻すかどうかも不透明と指摘。「サプライチェーンの転換においてインドが勝者になると断言するのは難しい」とした上で、リスクとリターンの観点からは中国の方が依然として魅力的だと分析した。
ティルマライ氏率いるチームは、2022年からインド株を「アンダーウエート」としてきた。中国株については昨年4月に国内投資家の参加拡大や好調な収益見通しを理由に「オーバーウエート」に引き上げた。
原題:UBS Drops Long-Held Bearish View on India, Downgrades Hong Kong(抜粋)
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